飲食店だけを悪者にする日本の作戦に開いた大穴 空気感染を否定しクラスター対策になおも拘る

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私の知る限り、いまだに医療・介護施設での感染拡大が止まらない先進国は日本だけだ。海外は、検査を頻回に実施し、さらにワクチン接種や感染歴を考慮して職員を配置することで、集団感染を抑制しようとしている。5月14日、アメリカ・ハーバード大学の研究者たちは、このような対策を講じることで、介護施設の感染を49%減らすことができるという研究をアメリカの『JAMAネットワークオープン』で発表している。

医療・介護施設での感染は政府・専門家の不作為と言っても過言ではない。では、なぜ、彼らは医療・介護施設での感染対策を軽視するのだろうか。それは、病院職員や介護職員を一斉に検査することは、彼らが推進してきたクラスター対策を否定することになるからだ。

クラスター対策とは感染者が出たら、濃厚接触者を探し出し、検査・隔離することだ。感染症法に規定された法定措置で、わが国の感染症対策の根幹だ。尾身氏は「感染拡大するいちばんのドライビングフォースはクラスターを通しての感染ということは、もう当初からわかってて、今もその事実は変わりません」(衆院厚労委員会/2020年11月18日)、「われわれのクラスター分析結果だと、大体、跡を追っていくと、そこがどこからそのクラスターが始まったかわかるんです」(衆院厚労委員会/2021年4月2日)とクラスター対策を擁護し続けてきた。

世界4大医学誌の2誌がコロナ空気感染を論考

現在、このように主張する専門家は世界にはいない。それは、コロナが空気感染でうつることがわかってきたからだ。イギリス『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』は4月14日に「コロナ空気感染の再定義」、イギリス『ランセット』は5月1日に「コロナが空気感染することを示す10の理由」という「論考」を掲載している。この2誌は世界4大医学誌に数えられ、その「論考」は世界の医学界のコンセンサスを反映する。

空気感染の主体はエアロゾルだ。咳やくしゃみで発生する飛沫の直径は0.02~0.05mm程度だが、エアロゾルの直径はその10分の1。最大で3時間程度、感染性を維持しながら空中を浮遊し、長距離を移動する。検疫のための宿泊施設で、お互いに面識がない人の間で感染が拡大したり、バスや航空機の中で遠く席が離れた人が感染したりするのは空気感染が原因と考えられている。

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