日本人は「糖尿病の真実」をあまりに知らなすぎる 堀江貴文氏が最新情報を追い続ける理由
いかがだっただろうか。権利の問題から一部しか公開できないが、本書では20ページにわたって展開されている。マンガに登場した岡本陽子さん(仮名)が語る「糖尿病の真実」は、予備知識を持って取材に臨んだ僕ですら、衝撃的だった。気づかないうちに人生が壊れてしまいかねない病気。しかも、治療しても完治しない病気。それが、糖尿病なのだ。
そもそも糖尿病とはどのような病気なのだろうか。基本から解説してもらうために、東京都済生会中央病院に渥美義大医師(現在はクリニックフォアグループ所属・糖尿病専門医)を訪ねた。東京都済生会中央病院は、糖尿病の「教育入院」を日本で最初に始めた医療施設で、糖尿病治療では定評がある。
教育入院とは、糖尿病について正しい知識を得ることを目的としたもので、治療開始時や病態管理がうまくいかない時に数日から数週間入院するものだ。それだけ、糖尿病の仕組みがわかりにくいということでもある。渥美先生、糖尿病について簡単に説明してください。
「糖尿病を一言で言えば──膵臓から分泌されるホルモンのインスリンが十分に働かないために血液中のブドウ糖(血糖)が増える病気──ということになります。糖尿病は特異な病気です。たとえば、病院などでは心臓の病気を診る医師、胃腸の病気を診る医師のように、臓器別に分けられることが多いですが、糖尿病の専門医は1つの病気を専門としています。これは治療や合併症を含め、臓器別に分けられないということで、この病気に対する患者さんの理解を難しくしている一因です」
なるほど。血糖が増える=血糖値が高いことは体に悪いんですか?
「血糖値は飲食のたびに上がり、およそ1時間後に上昇のピークを迎えます。元の状態に下がり切るのは、食後2~3時間ほど経ってから。食後に血糖値が上昇し始めると、膵臓からインスリンが分泌されます。インスリンの作用によってブドウ糖は細胞に取り込まれ、私たちが生きていくエネルギー源となるのです。私は患者さんに、体温を例にして『高血糖の害』を説明しています。人間の平熱は多くの場合36度台ですが、血糖値が高いということは体温39~40度で過ごしているようなものです」
日本人は糖尿病になりやすい
「インスリンの分泌は、人種によって差があります。欧米人は日本人の1.5~2倍の分泌能力(分泌能)があると言われています。だから、欧米人は過剰な食事を取っても、それに見合うインスリンが分泌され、余分な栄養が脂肪として蓄えられるため、太っている人が多いのです。いっぽう、日本人を含むアジア人はインスリンの分泌能が欧米人に比べて低いために、太れない。と言うより、太るよりも先に糖尿病になってしまうのです。つまり、アジア人は欧米人に比べて糖尿病になりやすいと言えるのです」
戦後、日本人の糖尿病の有病率は激増し、その傾向は現在も続いている。大きな原因は、食生活の欧米化だ。僕ら日本人は欧米人よりも糖尿病になりやすいのだから、この問題は深刻だ。また、糖尿病の合併症で1年間に約1万人が足を切断している(交通事故死の3.5倍)。同じく合併症で人工透析を受けている人は現在34万人を超え、死亡数は1年間で3万4000人……まだまだあるけど、ここで止めておく。僕が警鐘を鳴らす理由がわかってもらえただろうか。
とはいえ、怖がっているだけでは僕が取材した意味がない。次回は、21世紀に登場した画期的な治療法を紹介したい。10年前の常識がまったく通用しないほど進化していることに驚くかもしれない。
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