近畿日本ツーリスト「債務超過回避」でも残る難題 ネット販売の強化に待ち受ける高いハードル

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とはいえ、外部環境の厳しさは変わらない。今2022年3月期は売上高1800億円、営業損益は140億円の赤字を見込む(コロナ前の2019年3月期は売上高4118億円、営業利益25億円)。ワクチン接種が本格的に進み、Go Toトラベルの再開も回復を後押しするが、国内旅行は2019年3月期の50%程度にとどまるシナリオだ。

「修学旅行は現時点で例年どおりの予約だが、コロナの状況によって延期やキャンセル、コース変更があるだろう。一般の団体旅行も大きな受注がないが、後半には50%から60%、よくて70%に戻っていくのではと読んでいる」(米田社長)。

来年の海外旅行市場はどうなる?

一方で海外旅行は、2019年3月期の5%程度と計画する。ワクチン接種が年末に完了する前提で、終盤に渡航制限が緩和され、今期業績への貢献はわずかにとどまるとの見立てだ。つまり、旅行関連の本格復活は2023年3月期以降となる。

これに、自治体などのワクチン接種やPCR検査、助成金関連など受託事業が加わる。具体的にはクーポンの発券やコールセンター業務など後方支援の業務だ。ちなみに、オフィシャルパートナーを務める東京五輪ではチケット販売やスポンサー向けの企画、大会関係者のバス輸送(2500台を準備)などを請け負うが「五輪関係の業績影響は見込んでいない」(三宅貞行専務)。大会中止の可能性を織り込んでいるわけではないという。

また、コロナ以前からの構造的な課題も残っている。米田社長はユーザーの利便性が高いネット専業の旅行会社(OTA)が台頭してきたこと、交通機関やホテルが自社での直接予約を増やしていること、さらに旅行自体のニーズが多様化していることを課題として挙げている。

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