茨城一家殺傷事件は「第2の酒鬼薔薇事件」なのか 「人を殺してみたい」衝動を押さえられない?
女子大生も鑑定で「広汎性発達障害又はアスペルガー症候群に分類される発達障害」と診断されている。
ただし、それぞれの事件当時には「広汎性発達障害」「アスペルガー症候群」と診断されていたが、現在はそのような呼び方はない。
というのも、日本の精神医学は米国精神医学会がまとめた精神障害や疾患の診断基準「DSM」に基づくが、2013年に改訂した「DSM‐5」から、これらはすべて「自閉症スペクトラム障害(ASD)」にまとめられ、その診断名は消えたからだ。
このASDに「注意欠如・多動性障害(ADHD)」、「学習障害(LD)」を加えた3つが、今では「発達障害」とされる。ちなみに、神戸の少年は中学時代に受診先でADHDの疑いと診断されていた。
人が死ぬことへの執着が強かった
ASDをひとことで言えば「マイペースな人(子ども)」ということになる。その特徴としては、①対人関係が苦手で、人の表情や雰囲気を察して、それに沿って行動することが不得意であったり、②言葉の発達が遅れて、なかなか言葉が出なかったり、③ひとつの物事に強い興味を持って、それに没頭したり、同じパターンで行動することを好んだりする。
これらの特徴のうち②がなく、知的発達の遅れもなくむしろIQが高く、関心のあることには人並み以上のこだわりと能力を発揮するものを「アスペルガー症候群」とか「高機能自閉症」と呼んでいた。
名古屋大学の女子学生の場合は、人が死ぬことへの執着が強く、衝動が抑えきれなかったことが影響したと考えられる。そのこだわりは強く、老女を殺害する以前から、ツイッターに酒鬼薔薇事件への関心や「少年犯罪って、現役合格と同じ感じの輝きがあると思います」「人が死ぬという現象に興味があります」などと書き込んでいた。
自身の妹にはメールで「今のところ、殺人未遂なら何回かあるけど殺人はないんだよな」「はぁ~ダメだな自分。未成年のうちに絶対殺ってやるから!」と書き送っている。そして殺害後には「ついにやった」とツイートまでしていた。一連の裁判では発達障害の影響があったとしながらも、責任能力を認めて、無期懲役となっている。
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