ホンダ「レジェンド」レベル3運転は何がスゴいか 高速道路で乗ってわかった自動化技術の実力
ところで、自動運転技術を紹介する文章ではODD(Operational Design Domain/運行設計領域)という言葉がセットで登場することがこの先多くなる。
ODDとはシステムが正しく機能する領域を示す条件設定であり、設けられた条件設定をまとめると、搭載技術の物理的な限界点がおおよそわかる。
言い換えれば道路、地理、環境、規制、信号などが安全な自動走行の継続に必要な情報がODDだ。よって、その情報の領域を定めておくことが自動運転技術のシステム設計にとって不可欠である。
TORはODDにのっとり発報されるだけでなく、ドライバーに危険回避動作を促すシグナルでもある。筆者は公道での試乗前、このTORにはそれほど遭遇しないだろうと考えていた。しかし実際は頻繁に顔を出した。
考えてみれば、一般的に規制速度を上限付近で流れている(車速の高い)状況よりも、(車速の低い)渋滞路のほうが車線変更に遭遇する確率は高い。渋滞している高速道路で隣車線からの急な車線変更を受け、慌てて急ブレーキを掛けて事なきを得た経験のある読者も多いのではないか。
話を④自動運転モード稼働中のTORに戻す。筆者が最初に体験したTOR発報の理由はまさしく他車の急な割り込みが要因だった。
割り込みに対し強い運転再開要求
トラフィックジャムパイロット(渋滞運転機能)の作動上限速度である50㎞/hに近い44㎞/hで本線を走るわれわれの直前に、自車からみて左側の合流車線から、1台の車両がやや強引に車線変更を行ってきた。
この状況を受け、すぐさまディスプレイにはステアリングを握ることが表示され、これまで水色だったLEDはオレンジ色に反転。さらにステアリングのLEDは点灯から点滅となり、一層の強い運転再開要求が行われる。
加えてチャイムは注意喚起を示す緊張感の高い音色で、秒間2拍1回休みを繰返す。SF映画などで機械の故障を表現する音が近いか。
ちなみに、今回は公道試乗だったので体験していないが、資料によると、このままドライバーが運転再開をしない場合、シートベルトが巻き上げられ、それでも反応しない場合は、レベル3とは別の独立した制御として「ドライバー異常時対応システム・路肩退避型」が発動するという。
さて、この状況。割り込み車両に対してどんな対処法があるだろうか? 結果から先に述べると、システムはTORを発報しドライバーに回避動作を求めた。航空機で言うところのシステム「You have (control).」→ドライバー「I have (control).」というシナリオが危険を確実に回避できるとHonda SENSING Eliteは考えたのだ。
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