「ゴッドタン」佐久間Pがテレ東辞めて目指すもの スタッフから信頼厚いヒットメーカーの仕事観
──会社と対等でフラットな関係性を築かれてきたんですね。なかなかできることではないと思います。
それなりに対等でやってこれたので、会社を辞めるときももめることなく、番組継続の話もいただけたと思います。まだこいつを雇っておいた方が得だな、って思ってもらうことができた(笑)。
ただ、本当にテレ東の懐は深いんですよ。もちろん合わなくて辞めた人もたくさんいるし、組織である以上、会社すべてをオールグリーンとは言えないですけれど、向き合い方と順序をきちんとすれば、フェアに接してくれる組織だなと思います。
三四郎やEXITは放っておいても売れた
──佐久間さんは、才能の発掘が得意という世間の評価があります。ご自身ではどう考えていますか?
三四郎やEXITは、たまたま自分が面白いと思って最初に番組に出てもらっただけで、放っておいても売れたと思います。だから、僕が発掘したとは思ってなくて。
おぎやはぎや劇団ひとり、バナナマンも、彼らが売れる少し前にちょうど自分もディレクターを始めて、一緒にやってきたという感じがあるけれど、彼らが売れたのだって僕がきっかけではないですから。
芸人って時代の先を行く思考を持っていると思っています。一方、僕らは凡人なので、その思考に少し補助線を引いてあげて、「ここが面白いんですよ」ってわかりやすいように作ることが役割だと思います。
──東京03の「飯塚大好き芸人」やハライチ岩井さんの「腐れ芸人」なども、佐久間さんならではの視点ですよね。
東京03は、放送作家のオークラさんの紹介で単独ライブを見たのが最初でした。こんなに面白いのに無名なの!?って、衝撃を受けたんです。彼らはテレビバラエティーが得意じゃないけれど、こういう人たちが一生食っていけたほうがいいよねってオークラさんと話して、その一助になれるように演出を考えました。
「飯塚大好き芸人」(※1)は、テレビ朝日の加地さん(※2)と千鳥、若林くんと飲んでるときに思いついたんです(笑)。東京03は、自分の価値観に対して誠実だからこそ、どこかパンクさのようなものももっていて。
誠実だからできないことはできないって言うし、だから多分ニュースのコメンテーターとかもやらない。メインストリームみたいなところに自分を置かないんです。そういう意味で、彼らにしかできないお笑いがたくさんあるなと思ってます。
(※1:番組『雨上がり決死隊のトーク番組アメトーーク!』内の企画。※2:同番組のエグゼクティブ・プロデューサーの加地倫三さん。)
「腐り芸人」は、彼らの中の世の中に対する見方の面白さを何かでくくれないかなと考えて思いついたキーワード。ただ、“腐り”ってこっちが勝手に言っているだけで、彼らは別に自分の見方が腐ってるとは思ってない。だからこそ正義だし、面白いんですよね。
自分の考えが世の中と合わなくて悩んでいる人ってほかにもきっといるし、彼らのそういう違和感を腐りとして見せることが、多くの人に響くのでは、と考えたのがきっかけでした。