「ゴッドタン」佐久間Pがテレ東辞めて目指すもの スタッフから信頼厚いヒットメーカーの仕事観
──つねに“自分より相手”という佐久間さんの信条のようなものを感じます。円満退社かつ、番組プロデュースも継続されるということで話題になっていますが、そうした佐久間さんの姿勢がテレビ東京に伝わっているんですね。
はい。どんな人と仕事するときも「自分が利用するだけにならないようにしよう」ということは決めています。例えば、新人芸人に本人たちが望まないことを無理に押し付けないとか。自分と相手の両方に得があるようにしたいんです。
パワハラする奴より絶対いい番組を作ってやろう
それから、楽しい現場が大事。楽しいといっても、和気あいあいっていうだけの意味じゃないから難しいですが……。
というのも、僕が20年ぐらい前にテレビ東京に入社した頃は、信じられないくらいパワハラ、セクハラが横行している現場もあったんです。最初は我慢していたけど、「やっぱりおかしい、1人ずつ抹殺していこう!」と決めたんです(笑)。あいつはダメだからって追い出したり、ほかの番組でハラスメントに遭ってる後輩がいたら自分のチームに引き取ったりして。
そのときに「パワハラする奴よりも絶対いい番組作ってやろう!」って心に決めました。これ、カッコつけすぎなのであまり言いたくないんだけど……(笑)。もちろん、僕の見えないところで何か問題があって見逃している可能性はあるので、完璧とは言えませんが。
──いろんな部分で会社に貢献されてきたわけですね。
僕は、プロデューサーとディレクターを兼任していますが、プロデューサーはあまり向いてなくて。テレ東のようなバジェットの小さい局では、プロデューサーとしてチーム編成や予算管理を握ることで、ディレクター業務もやりやすくなるんです。
それと同じで、僕自身サラリーマンとしての偏差値がすごく高いとは思ってないし、偉くなりたかったわけでもないですが、「好きなことをやるために会社を儲けさせる必要がある」ってことはつねに考えてきました。ただ好きなことをやりたいだけの人間ではなかったと思います。
それに、そのほうが話が早いんです。例えば、『ゴッドタン』はテイストを変えたくないから深夜枠のままがいい、となったらスポンサーが必要になるから見つけてくる、それとDVDを作るなどマネタイズを先んじてやる、とか。「結果を残すことで誰にも文句を言わせない」ということは、つねに考えていました。そこは会社を利用している側面もあるし、会社に僕を利用させたって側面もありますね。