武田薬品と第一三共を分析する

新薬特許切れと後発薬メーカー買収の影響は?

平成26年3月期(2013年4月〜2014年3月)の決算内容を見てみましょう。同社の財務諸表は、国際会計基準(IFRS)を採用していることに注意してください。損益計算書(26ページ)から業績を調べますと、売上高にあたる営業収益は、前の期より8.6%増の1兆6916億円。売上総利益は9.9%増の1兆2014億円となりました。

ここから販売費及び一般管理費(販管費)や研究開発費を差し引いた営業利益は、前の期より114.3%も伸びて1393億円となりました。本業の収益を見ますと、好調だったのではないかと感じます。

ただ、セグメント情報(8ページから主要商品の国内での売上高を調べると、やはりブロプレスの売り上げは落ち込んでいます。前の期より6.1%減の1258億円となりました。このほかにも、特許が切れた薬品の売り上げが減少しています。その一方で、2010年以降に発売された新しい医薬品の売り上げが伸びましたが、落ち込みをカバーしきれず、国内の売り上げは前の期より1.0%減少しました。

しかし、海外での業績は好調でした。海外での外部顧客への営業収益は、前の期より16.4%も伸びています。武田薬品は、海外での売上収益が全体の56.6%を占めている会社ですから、この期の業績は海外事業によって押し上げられたと言えます。その理由は、特に中南米やアジアなどの新興国での売り上げが好調だったこともありますが、円安によって円換算額が増えたという要素もあるでしょう。

余談ですが、武田薬品が国際会計基準を採用しているのは、海外比率が非常に高いからだと考えられます。

以上のことから、主力商品の特許が切れても海外での売上増に支えられたため、全体の業績は好調だったと言えます。

製薬会社は研究開発に巨額費用がかかる業種

次に、貸借対照表(27ページ)から安全性を調べてみましょう。自己資本比率(資本合計÷資産合計)は55.6%ですから、かなり高い水準です。安全性には全く問題ありません。

資産の内容を詳しく見てみますと、無形資産が1兆1355億円もあり、突出して大きいことが分かります。これは医薬品の特許が含まれているからです。特許の資産価値には、その取得にかかった費用が含まれます。

次ページ買収で後発薬市場開拓に挑戦した第一三共
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