もう少し詳しく見てみましょう。セグメント情報(42ページ)から、第一三共グループとランバクシーグループそれぞれの業績を調べますと、やはりランバクシーグループのセグメント利益が大きく落ち込んでいることが分かります。前の期は163億円の黒字でしたが、この期は153億円の赤字を計上しているのです。
これは、米国から排除されてしまったことが大きな要因です。米国市場を開拓していくためにランバクシーを買収したものの、その期待が大きく外れてしまったというわけです。
逆にいえば、ランバクシーグループを連結対象から外してしまえば、第一三共全体の利益は大きくなるということです。今期の連結決算ではランバクシーを外しますから、その分、利益が回復すると見込まれています。今期の連結業績予想によると、営業利益は7.6%増の1200億円、最終利益は28.0%増の780億円になるとのことです。
貸借対照表(28~29ページ)から自己資本比率を計算しますと、54.3%。武田薬品と同じく、非常に高い水準になっています。
薬剤費と診療報酬の綱引きが起こる
今後、日本は高齢化がますます進んでいきますから、医薬品市場は拡大していくと思われます。ただしその一方で、政府は全体の医療費を抑制したいと考えています。日本の医療費はもうすぐ40兆円に達する規模であり、これからも確実に膨らみ続けていくからです。
そこで何が起こるかといいますと、診療報酬と薬剤費による医療費の取り合いです。薬剤費が上がれば診療報酬を減らさざるを得ないですし、逆に診療報酬を増やすと薬剤費を減らさなければなりません。医師会の力が強い中、こうした綱引きによって医薬品市場がどのように移り変わっていくかという点は、大きなポイントになるでしょう。
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