インド感染爆発、主犯は「変異株」という誤解 低いワクチン接種率と対策の緩みが招いた惨事

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

しかし、インドのデータはあまりにも不十分で、全国レベルでどの変異株がどれくらいの割合で流行しているかを割り出すことはできない。新規感染者数が膨大に発生しているにもかかわらず、変異株を監視するゲノム解析がほとんど行われていないためだ。

インド当局は、ワクチン接種を完了した人のうち、どれだけの人数が発病したかを追跡しようとしている。「ブレークスルー感染率」と呼ばれる指標だ。これはインドの変異株の毒性の強さを判断する手がかりとなるかもしれない。当局はアストラゼネカ製ワクチンを2回接種した可能性の高い最前線の医療従事者を重点的に調べている。

インド医学研究評議会(ICMR)の4月21日までのデータはブレークスルー感染率が極めて低いことを示している。とはいえ、その値はアメリカより高くなっているもようだ。データによると、ワクチン接種を完了した人の発症率はインドが0.02~0.04%なのに対し、アメリカは0.008%。ただ、アメリカは使っているワクチンが違うので、単純比較はできない。

世界の動きを甘く見たインド

データの広範な不足が、変異株の科学的な追跡とインドの危機的な感染に対する変異株の影響の解明を難しくしている。変異が急速に進んでいることも状況を複雑にしている。変異株がどれくらいの速度で広がり、ワクチンがどれくらい効くのかといったことは、すぐには明らかにならないためだ。

インドの医療体制は、変異株が世界で広がり始めていたときですら、国内的な影響に対し警戒姿勢をとらなかった、とインド南部タミルナドゥ州の有力ウイルス学者、テッカーラ・ジェイコブ・ジョン氏は指摘する。

同氏が言う。「私たちは変異株にまったく目配りできていなかった。私たちは舟に乗り遅れたのだ」。

(執筆:Jeffrey Gettleman記者、Shalini Venugopal記者、Apoorva Mandavilli記者)
(C)2021 The New York Times News Services

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事