クルマ「大幅減時代」メーカーはどう対応するか 「自動車の数の適正化」を目の前に課題は多い
日系自動車メーカーの間で、電動化に次いでコネクテッドでも連携強化の動きが出てきた。
直近では、2021年3月24日にトヨタ、日野、いすゞが共同記者会見を開き、小型トラック事業においてトヨタのCASE技術を使い、長年のライバル関係にある日野といすゞがタッグを組むことを発表した。
改めてCASEについて説明しておこう。
通信によるコネクテッド技術(Connected)、自動運転技術(Autonomous)、シェアリングなどの新しいサービスを運用する技術(Shared & Services)、そして電動化技術(Electric)という大きく4つの技術領域が一斉に進化することで、部品製造~自動車製造~自動車販売~2次流通~廃棄に至るまで、自動車産業全体で構造変化が起こるという考え方だ。
もともCASEという表現はドイツのダイムラー社によるマーケティング用語だったが、近年では一般名詞のように使われるようになっている。
今回の日野といすゞの連携では、電動化分野でEV(電気自動車)とFCV(燃料電池車)の共同開発を進めると同時に、コネクテッド技術を重点的に変革する。
商用車のコネクテッド技術に関するプラットフォームは、メーカーごとに違うという現状があるため、「お客様の課題解決につながる商業車版コネクテッド基盤を構築し、さまざまな物流ソリューションを提供する」(いすゞの片山正則社長)と、顧客目線での事業戦略であることを強調した。
さらに2021年4月27日には、乗用車でもトヨタ主導によるコネクテッド技術の連携が発表された。参画するのはトヨタを含む、スズキ、スバル、ダイハツ、マツダの合計5社で、次世代車載通信機の技術仕様の共同開発に合意したというものだ。
モビリティサービス・プラットフォーム(MSPF)という考え方
それによると、トヨタが開発した車載通信機技術をベースに、クルマからの通信ネットワークと車載通信機センターまでの接続仕様を共通化する。そして各社は、車両システムとサーバー基盤を自社で持つことで、他社との差別化を図る。
こうしたトヨタのコネクテッド技術を活用する新体制により、各メーカーでの通信の品質が上がり、接続スピードがより速くなるなど顧客にとって直接的な利点を得られるという。また、システム運用や機能を追加する際のコスト削減にもつながるとの考え方を示した。
トヨタは2017年発売の「カローラスポーツ」と「クラウン」を皮切りに、車載通信機DCM(データコミュニケーションモジュール)の標準搭載化を進め、車載情報をモビリティサービス・プラットフォーム(MSPF)で管理する体制をグローバルで強化してきた。
今回の日系5社連携も、MSPFを基本とした構想であると考えられる。
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