クルマ「大幅減時代」メーカーはどう対応するか 「自動車の数の適正化」を目の前に課題は多い

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将来の生産・販売台数の考え方について、「極論としては『クルマの数の適正化』がカーボンニュートラルにもっとも大きな効果があると思うが、台数抑制では経営が成り立たない。ホンダはホンダモビリティソリューションズを立ち上げたように、CASEのうちの新しいサービス領域が重要となるはずだ。生産・台数抑制と新しいサービス事業拡充のバランスについてどう考えているか」

これに対して三部氏は、以下のように返答した。

社長就任会見でスピーチをする三部敏宏社長(写真:本田技研工業)

「難しい質問だ。パーソナルカーとしては、われわれの現在の事業は研究開発・生産・販売だ。今後は(GM関連のベンチャー企業と協業で実証を行う)自動運転レベル4のロボットタクシー、またはクルマの使われ方の公共化などが、スマートシティ構想の中で進むと考えている。(そうなると)今のパーソナルカーを主体とした台数がどのように変化するか、シミュレーションはしているが適正台数を見出す段階には至っていない。ただ、ビジネスが“パーソナルカーの売り切り型”から必ず変化すると認識している。今後、新しい事業を通じて(適正な)台数を考える。未来のビジネスが見えないので、(現状では)目標台数の設定が困難な状況にある」

アライアンスの拡大で業界は変わるか?

三部社長が言うように、将来が見通せず、株式市場での評価が販売台数と売上高に依存している現状では、「社会におけるクルマの数の適正化」を提示することは極めて難しい。

筆者は三部社長に日系メーカーとのアライアンスの可能性についても聞いたところ、「両社がウィンウィンの関係、または電動2輪車で4社アライアンスを組んだように、4輪でも新しい市場が創出できるなら、日系メーカーとのアライアンスについて否定はしない」と答えている。

結局、自動車メーカーは「数を追う」経営体質を当面は維持しながら、コスト削減で各種アライアンスを強化していくことになる。その過程で、メーカー間の協調領域が拡大することで、各メーカーのクルマの商品としての個性が低下することは避けられず、メーカーの合従連衡と消費者動向を早期に察知して対応する「多ブランド戦略」が進むのかもしれない。自動車産業は、暗中模索が続く。

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桃田 健史 ジャーナリスト

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ももた けんじ / Kenji Momota

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、EV等の車両電動化、そして情報通信のテレマティクス。

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