クルマ「大幅減時代」メーカーはどう対応するか 「自動車の数の適正化」を目の前に課題は多い
各種のアライアンスによって顧客目線でのサービスが充実していくことは、ユーザーにとって喜ばしい動きだ。
一方で、自動車産業界の従事者にとっては、こうしたアライアンスが今後、企業の合併・買収へ発展し、事業部の統合や子会社の廃業などにも結びつく可能性などを考えると、自らの将来に対する不安がよぎる人もいるだろう。
実際、筆者のもとには、自動車関連企業の労働組合等から、急変する自動車産業の今後に対する問い合わせが直近で複数件寄せられている。果たして、自動車産業はこれからどういう方向に進んでいくのだろうか。
100%電動化を掲げる政府、“物言い”をするメーカー
筆者はこれまで、世界各国の自動車産業の現場を取材してきた。また、2020年春以降、コロナ禍になってからは、国内を中心に自動車産業や地域社会の変化について、オンラインでの情報交換と現場での意見交換を並行して続けている。
そうした中で、改めて国や地方自治体、そして自動車産業は「どこに、どのようにして向かっていくのか」という方向性をいまだに見い出せていないと感じる。
例えば、政府が掲げる「2050年のカーボンニュートラル」の出口戦略は、2010年代後半からグローバルで一気に拡大したESG投資を対象とし、全体規模3000兆円の1割にあたる300兆円を日本の新規産業として積極的に取り組むことだと明示されている。
中でも、日本の基幹産業である自動車産業について、菅義偉総理は2021年1月に開会した通常国会の施政方針演説で「2035年までに軽自動車を含めて新車100%電動化を目指す」と明言した。
これを受けて、自動車メーカーの業界団体である日本自動車工業会(JAMA)の豊田章男会長は、政府の示す電動化施策に対して“物言い”を行ってきた。
2021年2月から4月までの定例記者会見の中では、「電動化=EVという報道に対する懸念」「原材料採掘から車両廃棄まで、ライフサイクルアセスメント(LCA)を加味した事業構想への早期転換の必要性」「CO2と水素を融合して生成するe-フューエル利用拡大の日本市場における有効性」といった意見を表明している。
だが、豊田章男会長の会見を聞く限り、国内生産500万台規模の維持による“自動車関連産業従事者550万人の雇用確保”を前提としていることは明らかだ。
2021年4月23日に、ホンダが三部敏宏氏の社長就任会見を開催した中で、筆者は三部社長に次のような質問をした。なお、以下はテープ起こしを基本としてしているため、筆者がすでに公開している記事と重複する部分があることをご了承いただきたい。
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