ボルボが2030年全車EV化に挑戦できる納得の訳 小回りのよさや吉利との関係強化を活かす

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ボルボ「C40」(筆者撮影)
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スウェーデンの「ボルボ」は古くから独自の個性を持つ自動車メーカーだ。販売台数は少ないが「ブランド力」は高く、人間中心の思想で「安全」に対するこだわりが強い。そして「大胆な戦略」をスピーディーに決断できることが特長であり、強みだろう。

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その1つがパワートレイン戦略の変貌だ。2014年に「100%自社開発」「4気筒以下」「排気量2.0L以下」「ガソリン/ディーゼル共通の基本構造」という明確なコンセプトで開発された「Drive-E」を導入。短期間ですべてのモデルに搭載された。このDrive-E(ガソリン)とモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドも用意されたが、当初はどちらかと言うと上級グレード用で、主力はコンベンショナルなガソリン/ディーゼルだった。

しかし、2015年に起きたVW(フォルクスワーゲン)によるディーゼルエンジン制御に関する違法行為「ディーゼルゲート」と呼ばれる問題から状況は一転、多くの欧州メーカーは一転して電動化に舵を切る戦略を取りはじめた。

ボルボ初のEVモデルは2019年に発表

ボルボも2017年に「2019年以降に発売される全モデルを電動化させる」と発表。純粋な内燃機関モデルの終焉の宣言だったが、一部メディアが「ボルボ全車EV化」と誤報を流して問題となった。そのときの内容は、「2019~2021年の間に5台の電気自動車を発売(ボルボブランドが3台、ポールスターブランドが2台)」「全モデルにガソリン/ディーゼルのプラグインハイブリッドと48Vマイルドハイブリッドを設定」だった。

その後、2019年にクロスオーバーSUVの「XC40」をベースにした初のEVモデル「XC40リチャージ」を発表。このときは「2025年までに世界販売台数の50%をEVにすることを目指し、新しいEVを毎年導入していく」と発表していた。

プラグインハイブリッドモデル「XC40リチャージ・プラグインハイブリッド」(写真:ボルボ)

その後、ボルボの日本法人も独自の戦略を発表。その1つが2020年8月に「年内に国内販売モデルをプラグインハイブリッドもしくは48Vハイブリッドにすることで、電動化への第1段階を完了させる」だ。全モデルのパワートレインの見直しが行われ、公言どおりとなった。その一方で、大型モデルで人気の高かったクリーンディーゼルはラインナップから消えた。

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