ボルボが2030年全車EV化に挑戦できる納得の訳 小回りのよさや吉利との関係強化を活かす

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日本でも人気が高い「ボルボ」。2030年に全車を電気自動車(EV)化する、意欲的な戦略が持つ意味とは?(写真:ボルボ)

そんなボルボは、2021年3月2日に新たな電動化戦略を発表。「2025年には世界販売の50%、2030年には販売するすべてのクルマをEVにする」と言う目標が掲げられた。つまり、これから先はハイブリッドを含む内燃機関を搭載したクルマを世界で段階的に廃止、最終的に「EV専用ブランド」になることを意味していた。加えて、ボルボのEVはすべてオンライン販売のみと発表された。

ちなみにボルボの日本法人もその翌日、「2030年に新車のすべてをEVにする」「EVはオンライン販売のみ」と本社と同じ方針を発表。現時点では日本で1台もEVを販売していないメーカーが、ゼロスタートから挑戦を行う――。非常に興味深い。

電動化は世界の自動車メーカーの命題となっている。欧州メーカーの多くがEVシフトの宣言を行うもその裏では内燃機関の開発を止めていないメーカーも多いと聞くが、なぜボルボはその決断を下せたのか? 

プラグインハイブリッドのラインナップ(写真:ボルボ)

SUBARUよりも少ない世界販売台数

その1つは小規模なメーカーであるが故に「あれもこれも……」ではなく「経営資源の集中」で競争力をつけるという判断だろう。参考までにボルボの2020年の世界新車販売台数は66万1713台と、主要な量産自動車メーカーの中では下から数えたほうが早く、日本車メーカーで最も小ぶりなSUBARU(スバル)の約100万台よりも少ない。

ちなみにボルボのホーカン・サムエルソンCEOは今回の発表に関してこう語っている。

「成功し続けるためには、収益性の高い成長が必要です。そのため、縮小する事業(=内燃機関)に投資するのではなく、電気自動車とオンラインという未来への投資を選択しました。 私たちは、急成長するプレミアム電気自動車セグメントのリーダーになることに完全に集中しています」

ただ、筆者はそんなビジネス的な観点だけでなく、スウェーデン人に根付いている「自然を大切にするのが当たり前」という文化に対する、「自動車メーカーとして何ができるのか?」という答えでもあるように感じた。もちろん、「EV化することで環境問題すべてが解決できるか?」という議論があるのも事実だが、創業当初から「人に優しいクルマづくり」を身上としているボルボらしい判断と言えるかもしれない。

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