証券詐欺提訴で激震のゴールドマン、ウォール街の全面洗い直しへ発展も

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ウォール街へのインパクト

今回のSEC提訴は、今後GSに対する多くの訴訟に拡大する可能性がある。GSが販売していた証券化商品にだまされたという顧客からの訴えが増えているからだ。SECが問題にしているGS製の投資商品は特定の一つを対象としているが、GSは同じような商品をいくつも組成・販売している。そのいくつかについてだまされたと思う投資家が訴訟に踏み切る可能性は十分ある。

これまで比較的若手の社員、ファブリス・トゥーレ氏だけに容疑がかけられているが、SECはGSの抵当証券投資委員会(MCC)の関与を疑っている。その委員会には上層部の人たちも含まれており、今後、同社幹部に容疑がかけられる可能性もある。

SEC提訴の衝撃波はまだ始まったばかりだ。最近の取り調べでは、証券詐欺容疑はGSだけではない。上院公聴会では過去最大の銀行倒産とされるワシントン・ミューチュアルの破綻には、同行幹部が不正融資にいかにかかわったかが、明らかにされている。破綻したリーマン・ブラザーズの捜査でも、その業績急悪化に対して驚くほどのバランスシート操作が行われていたことが証明されている。

著名銀行アナリストのクリストファー・ウォーレン氏は、「かつてウォール街の会社は顧客を保護したものだが、今回のゴールドマン・サックスに対する訴訟によって明らかになったのは、ウォール街の野蛮な文化だ。そこではディーラーたちがこっちの顧客をだまし、あっちの顧客を儲けさせるようなことを平気でするようになった」と書いている。

色あせる米国政府への影響力

GSの米国政府への伝説的な影響力は色あせつつある。同社は長年にわたって米連邦政府へ有力な社員を送り込んできた。しばしば“ガバメント・サックス”と呼ばれたこともある。そういう良き日は過ぎ去りつつある。

今ではGSと何らかの形でかかわったことのある人物は、連邦政府内でいい仕事につけなくなっている。同様にGSのロビイストも、ひところは共和党にも民主党にも巨額の選挙資金を供給したものだが、今ではそのこと自体が疑いの目で見られている。

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