証券詐欺提訴で激震のゴールドマン、ウォール街の全面洗い直しへ発展も

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 最近になって激しい批判を浴びているのはクリントン政権時代の元財務長官のローバート・ルービン氏(それ以前はGSの会長だった)とルービン財務長官時代に財務副長官だったラリー・サマーズ氏(現オバマ大統領の筆頭経済顧問)の2人である。

彼らは商業銀行と投資銀行を峻別していたグラス=スティーガル法撤廃の立役者であり、ハイリスクのデリバティブ(派生商品)市場の規制に猛然と反撃したことで知られる。彼らがやったことによってウォール街は、将来有望な企業のために資金調達をする“顧客主導型”の存在から、実態経済とは懸け離れた奇妙な金融商品の取引に注力するハゲタカ・システムにシフトしてしまった。09年のGS収益の78%はデリバティブや抵当証券を中心とした証券化商品によるものだ。

現財務長官のティム・ガイトナー氏も議会では痛烈に批判されている。彼が主任スタッフにGSの元役員を雇ったからだ。ガイトナー氏自身、もともとルービン氏、サマーズ氏の下で働いていた人物である。

クリントン元大統領はルービン氏とサマーズ氏、さらにアラン・グリーンスパン元FRB(連邦準備制度理事会)議長のアドバイスを受けたことは間違いであり、またデリバティブ市場を規制しなかったことも間違いだったと語っている。そのデリバティブ市場は1998年には約29兆ドルだったが、規制がないまま急膨張し、現在では500兆ドルにまでなっている。
(ピーター・エ二ス/在ニューヨーク =東洋経済オンライン)

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