パート妻は厚生年金に入ると夫の死後損する? 「働きすぎると年金が減らされる」は本当か

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遺族厚生年金の差額支給のルールを知ると、パートの妻は今後厚生年金に加入することを躊躇するかもしれません。遺族厚生年金は、夫が先に亡くなり、その後遺された妻が1人で過ごす期間での受給になりますが、妻が1人で過ごす期間が長いほど、遺族厚生年金が支給される期間、すなわち前述の妻の老齢厚生年金相当額が調整される期間が長くなるといえます。

日本人の平均寿命は男性81.41年、女性87.45年です(厚生労働省「令和元年簡易生命表の概況」より0歳時点での平均寿命)。女性が男性より長生きしやすいことは知られていることですが、そうなると、妻が年下であるほうが妻1人で過ごす期間が長くなり、妻が年上であるほうが夫婦2人で過ごす期間が長くなる可能性が高いといえます。

「年下の妻」のほうが調整期間は長くなる

例えば、夫も妻も平均寿命くらいまで生きると考え、夫が82歳、妻が88歳まで生きたとします。もし妻が5歳年下の場合は、妻が年金を受給する65歳以降の期間について、夫婦で過ごす期間は妻が77歳のときまで(夫が82歳で亡くなるまで。遺族厚生年金が支給・調整されない期間)で、妻は77歳から88歳まで11年間は1人となり、差額支給の遺族厚生年金を受ける期間(遺族厚生年金が支給・調整される期間)になります(図表2参照)。

(出典)筆者作成

一方、もし夫より妻が5歳年上であれば、妻が年金を受給する65歳以降の期間について、夫婦で過ごす期間(遺族厚生年金が支給・調整されない期間)は妻の65歳から87歳の22年、妻が1人で過ごす期間(遺族厚生年金が支給・調整される期間)は87歳から88歳までの1年間です。調整されるのは1年のみです(図表3参照)。

(出典)筆者作成

このように、年下妻のほうが遺族厚生年金を受け、老齢厚生年金分の遺族厚生年金が調整される期間が長くなり、妻が年上のほうが夫婦で過ごす期間、夫婦で年金を受給する期間が長くなる傾向にあります。

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