日経平均株価が再浮上するのはいつになるのか 日米両国の「株価格差」はどこにあるのか?
NYダウ平均株価は4月16日に3万4200ドルをつけ史上最高値を更新した。何といっても株価上昇の背景は経済活動の急激な持ち直しだ。1人当たり1400ドルの給付金を柱とする総額1兆9000億ドルの景気対策効果が発揮されたところに、コロナ感染状況の好転が重なった。
他方、日経平均株価は2月16日につけた3万0714円はおろか節目の3万円を回復できずにいる。3月の金融政策決定会合で、日銀がETF(上場投資信託)買い入れを実質的に減額したことも一因だが、やはり根本的な理由は国内経済、すなわちワクチン接種の遅れに対する不安だろう。それが日米の株価パフォーマンスの格差としてはっきりと表れている。以下で日本と海外経済の先行きについてポイントを整理したうえで、株式市場を展望していく。
アメリカの雇用情勢が大幅改善する理由
まずは、アメリカ経済から見ていく。3月以降、コロナ感染状況の好転とワクチン接種の進展を受けて経済活動は急速に息を吹き返し、最近はこれまで新型コロナの打撃が集中していた飲食店や旅行の需要も回復に転じている。レストラン予約サイト・オープンテーブルが公表する日次データに基づくと、4月上旬時点でレストラン予約件数は2019年対比で約8割程度まで戻した。
ニューヨーク州やカリフォルニア州は、なお正常化に程遠いものの、テキサス州やフロリダ州などでは2019年水準を上回る活況を取り戻している。今後もワクチン接種の進展とともに回復傾向を維持する可能性が高いと判断される。
また、コロナ禍の苦境を象徴してきた航空業界にも光明が差し込んできた。アメリカ運輸保安局(TSA)が公表する日次データに基づくと、2021年4月18日時点の旅客数は2019年対比で6割強と大幅なマイナスも、それでも年初からは大幅に増加し、旅行需要の回復が示されている。
こうした人々の移動が宿泊業に波及する可能性が高いことを踏まえれば、それが意味するところは大きい。というのも、労働集約型産業の典型である飲食店や宿泊業は、客足の回復が雇用増加に結びつきやすいという特徴があるからだ。飲食店など接客業の雇用者数はパンデミック(世界的大流行)発生前の2020年1月時点で全体の11%を占めていたことを踏まえれば、向こう数カ月の雇用情勢は大幅な改善が期待される。3月時点で6.0%まで低下していた失業率は、一段と低下するだろう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら