日経平均株価が再浮上するのはいつになるのか 日米両国の「株価格差」はどこにあるのか?

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一方の日本だが、まず製造業については、海外経済の回復によって輸出の増加が期待される。アメリカに加え、コロナショックからいち早く立ち直った中国も回復が持続する可能性が高い。

足元では景気の先行指標として有効な新規貸し出しの増加ペース(正確にはクレジットインパルスと呼ばれるもの)が鈍るなど、リバウンド一服の兆候も散見されているが、それでも生産活動は高水準を維持しており、また今後はサービス業の回復も予想されるため、堅調な推移が見込まれる。

欧州については、ワクチン接種で先行するイギリスに追随し、ドイツやフランスが今後回復力を増してくるだろう。品目別では、世界的に需要が高まっている半導体関連、アメリカと中国で販売が好調な自動車の輸出増加が期待できる。また企業の設備投資再開によって資本財(一般機械)も堅調な推移が見込まれる。

日本国内のワクチン接種は7月が転換点に

さて、問題は個人消費だ。言わずもがな、圧倒的に重要なのはワクチン接種の進捗だ。本記事執筆時点の最新情報によると、菅義偉首相は「希望する高齢者に対し、7月末までを念頭に2回の接種を終えられるよう取り組む」としている。

ワクチン接種が政府の思惑どおりに進むかは極めて不透明感が強い。だがアメリカの例に基づくと、高齢者のワクチン接種にメドがつくと期待される7月ごろが1つの転換点になるように思える。65歳以上人口(高齢化率)が16%程度のアメリカでは、人口100人当たりのワクチン接種が20人に到達した頃、高齢者のワクチン接種にメドがつき、全体としてコロナ感染状況が沈静化に向かい、経済活動正常化が進んだ経緯があるからだ。

むろん、ロックダウンの有無や季節要因、医療体制の違いもあり単純比較はできないが、日本でも高齢者のワクチン接種進展に伴い、医療体制の逼迫感が和らぎ、対面型サービス業の再開が可能になるといった展開が期待される。

日本の高齢化率は28%とアメリカ対比10%ポイント以上も高いため、アメリカほど鋭い回復は難しいかもしれないが、ワクチン接種率30%を1つのポイントとして認識しておきたい。ワクチン接種が政府の思惑どおりに進めば、アメリカ株に対する遅れを取り戻せるのではないか。

藤代 宏一 第一生命経済研究所 主席エコノミスト

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ふじしろ こういち / Koichi Fujishiro

2005年第一生命保険入社。2010年内閣府経済財政分析担当へ出向し、2年間『経済財政白書』の執筆や、月例経済報告の作成を担当。その後、第一生命保険より転籍。2018年参議院予算委員会調査室客員調査員を兼務。2015年4月主任エコノミスト、2023年4月から現職。早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)。担当は金融市場全般。

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