「世界最低の出生率」台湾子育て世代の悲痛実態 住宅は高いし、公的保育サービスも足りない
住宅価格の高騰が出産へのネックに
台湾の外資系企業で働く呉さん(32、男性)。彼の年収は100万台湾ドル(約384万円)と、同年代の平均年収である60万台湾ドル(約230万円)を大きく上回っている。それでも、現在交際している女性との結婚に踏み切れないとこぼす。「将来子どもが欲しいかと聞かれたら、もちろんイエス。でも、今の年収では私が受けてきたような家庭環境や教育を、生まれてくる子どもに与えられるか自信がない」と打ち明ける。
今回の調査では、15~49歳の生殖適齢期に当たる男女に対し「将来、子どもを持ちたいか(もう1人持ちたいか)」と質問したが、イエスと回答したのは全体の33%、女性では27.3%にとどまった。39歳以下の男女でみると、「子どもを持ちたい」と考えているのは39.6%と、全体の4割を切ってしまった。
「将来、子どもを持ちたいと思わない」との回答者は、その理由に「経済的な不安」(53%)を挙げる。また「結婚していない」「理想の出産年齢を過ぎてしまった」「子どもの教育に対する不安」「すでに子どもがおり、これ以上の子どもは望まない」「子育ては大変そう」「社会に対して希望を持てない」といった理由を挙げている。
台湾の若者たちは、経済的な不安を抱えながら生きているのが現状だ。その最たる理由が、住宅価格の高騰だ。今回の調査でも、全体の37.7%が「住宅購入のために結婚を遅らせることを検討している」とし、また36.9%が「住宅を購入するために子どもを持たない、もしくは子どもの数は少なくしたい」と回答している。
さらに、「将来、子どもを持ちたい(もう1人持ちたい)」という回答者の中でも、その51.3%が「住宅を購入するために結婚を遅らせることを検討」と回答、41.9%が「住宅を購入するために子どもを持たない、もしくは子どもの数は少なくしたい」と回答している。子どもを持ちたいという意欲のある層であっても、住宅問題を理由に晩婚や産み控えを検討しているということだ。
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