「世界最低の出生率」台湾子育て世代の悲痛実態

住宅は高いし、公的保育サービスも足りない

こういった働き方に関する調査で注目すべきは、子どもを持ちたいと最も願っている層、すなわち年収100万台湾ドル以上の未婚者の33%が、現行は16時までとなっている公立託児所の預かり時間を延長してほしいと要望していることだ。

今回の調査では、出産・子育てについて悲観的な声が示された一方で、子育て経験者の多くが「子どもができて幸せになった」と回答している点が目をひく。例えば、子育て経験がある回答者の73.7%が、「幸せになった」と回答しているのだ。とくに29歳以下の相対的に若い世代の81.1%がこう答えており、30~49歳の73%を上回っている。

「子どもを持って幸せになった」20代の8割

また子育てからの幸福感は、世帯年収が左右する結果も示されている。世帯年収が200万台湾ドル(約770万円)以上の家庭の80%は、「子どもを持って幸せになった」と回答したが、50万台湾ドル(約190万円)の層では61%にとどまった。

また、母数は少ないが、未婚で子育てをしている回答者のうち88.5%が「子どもを持って幸せになった」と回答し、結婚後に子どもを持った回答者の72.8%を15ポイント以上、上回っている点も目をひく。

今後、台湾が少子化対策で取るべき方向性を今回の調査がはっきり示したと言える。それは、台湾の出生率を回復させ、安定させるためには、まずは生殖適齢期に相当する世代の経済的な不安を緩和すべきだということだ。子育て世代の所得が増えれば、子育てに関する各種手当てや補助金は何倍もの効果を生み出すだろう。

また、短期間で所得の向上が見込めなければ、公的保育サービスを拡充し、政府が企業に対して子育て世代がより働きやすい環境を整備させることで子育てへの不安を解消させる。こうしてこそ、子育てに安心できる社会になるのではないだろうか。

(台湾「今周刊」2021年4月14日)

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