日本の公教育は「ここがもったいない」! ”オール公教育”で大臣に。竹中平蔵さんに聞く

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時刻表オタクが、世界への道につながった

――小学校5年生の頃、学ぶ意欲を持たれていたということですが、それ以前の幼少期に何かきっかけになる出来事はありましたか。

 実は私は「鉄っちゃん」、いわゆる鉄道オタクでした。鉄ちゃんにもいろいろな種類がありますが、私は「調べる」のが好きで、時刻表を暗記していました。昭和30年代、東京と大阪の間は特急で6時間半。急行だと7時間半かかりました。毎日、時計を見ては「今、午後3時半だから、急行○○号は××駅に着く頃だ」と想像していました。

子どもの頃、父に連れられて羽田空港を見たことも覚えています。「いいなあ、お前たちは、どこへでも行けるなあ」と言われました。父は義務教育を受けた後、兵隊にとられました。その後、田舎で小さな商売をしていた人です。

私は仕事でいろいろな国へ行くようになると、日本はすばらしい、と思うことが多々あります。30年前に初めてタイを訪れたときのこと。名門校タマサート大学の教授が水上マーケットに連れて行ってくれました。すると、10歳くらいの女の子がゾウの人形を売りに来たのです。教授が言うには「竹中さん、日本はいいね。あの女の子は小学校に行けないんだよ」。

日本にも貧困の問題はありますが、途上国とはケタが違います。あの水上マーケットでゾウの人形を売っていた女の子が、もし日本に生まれていたら、おそらく小学校に行けたはずです。

――今お話いただいたエピソードは、子どものグローバル教育に関心を持つ親の懸念と重なるところが大きいです。団塊ジュニアの私は、高等教育を受け一定の英語を身に付けることで、階層上昇の機会を得ました。一方、自分の子どもたちは生まれたときから環境が整っていて、ハングリー精神由来の頑張りを求めるのが難しいと感じます。

本当に難しい問題です。かつて、学生は「働かないと食えない」から働きました。今はそういうモチベーションを持ちにくい。でも、一度、外の風に触れると日本がいかに恵まれているかわかると思います。

現実は若者のモチベーションうんぬんとは別に、厳しい側面があります。フラット化する世界において、先進国の人々は、今日、昨日と同じことをしていると、貧しくなるのです。だから、今日と同じ生活水準を求めるなら、昨日より懸命に働かなくてはならない。言い換えれば、若者には、豊かになる自由も貧しくなる自由もある、ということになるでしょうか。

(撮影:梅谷秀司)



 

治部 れんげ ジャーナリスト

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じぶ れんげ / Renge Jibu

東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授。日経BP社、ミシガン大学フルブライト客員研究員などを経て2021年4月より現職。内閣府男女共同参画計画実行・監視専門調査会委員、日本ユネスコ国内委員会委員、日本メディア学会ジェンダー研究部会長、など。一橋大学法学部卒、同大学経営学修士課程修了。著書に『稼ぐ妻 育てる夫』(勁草書房)、『炎上しない企業情報発信』(日本経済新聞出版社)、『「男女格差後進国」の衝撃』(小学館)、『ジェンダーで見るヒットドラマ―韓国、日本、アメリカ、欧州』(光文社)、『きめつけないで! 「女らしさ」「男らしさ」』1~3巻(汐文社)等。

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