コストコが年4840円の会費を取る本質的な理由

収益構造の分解から見えてくる儲けのカラクリ

ところでアメリカでは小売店の苦戦が報じられる。しかしそのなかでもBOPIS(バイ・オンライン・ピック-アップ・イン・ストア)に舵を切り持ち帰りサービスとネットに注力したウォルマートは強い。そして、AWSでも追い風が吹いたアマゾン。そして、広い店舗と、お客がまとめ買いでき、ならびに、顧客の囲い込みに成功しているコストコは好調な経営結果を残している。

なおコストコもECは拡大しており、2021年度の第2四半期は昨年比で75.8%も伸びたとしている。もとの金額が少なかったのもあるだろうが、コストコはECでも攻勢をかける。もちろんだが、ECを利用するためにはコストコの会員登録が必要だ。ただ、同社の姿勢を見れば、実際は逆で、すでに店舗に来てくれている既存顧客へのサービスレベルを上げるためにECが活用されていると考えたほうがいいだろう。

コストコのこれから

なお、コストコは日本国内では2021年に北海道、愛知県、熊本県と店舗を拡大していく。日本でも巣ごもり需要のなかで、スーパーやディスカウントストア、ホームセンターが堅調だ。そのなかでコストコは、そのすべてをカバーし、さらにフードコートまで備えているしガソリンスタンドまである。キャンプやアウトドアブームにのって、大量の食品・お菓子・飲料を購入したいニーズにも合致する。

なお私が注目したのは、昨年、コロナ禍でコストコが漁業へアプローチした方法だ。飲食店が不調に陥るなか、飲食店も大変だが、供給業者も大変だ。とくに、漁業関係者は卸と飲食店から買ってもらわないとどうしようもない。そこでコストコは養殖のマダイを買い取り、そして店舗で販売した。

私は面白いモデルだなと感じた。現在ではサステナビリティー経営が叫ばれているが、そもそも企業が生き残らなければサステナビリティー経営もなにもない。そこで、苦境に陥っている分野を救済するために、商品を仕入れる。さらにコストコでは過剰な利益も加算されていないとわかれば、消費者も高品質・低価格のものを享受できる。それがコストコのブランドイメージ向上にもつながるし、さらにはそれが新規会員増加、会員維持率向上にもつながるかもしれない。

会員制度の会員収入で儲ければいい。そのためには商品魅力度の向上を、というのはさまざまな可能性を感じさせてくれる。

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