野球でバッターが本気で嫌がる「変化球」の特徴 「キレがある球」「スピンの利いた球」って何?
また、変化球の分析でさらに難しいのは回転軸です。図3-1のように、ボールの回転は「投手側から見た視点」と「上から見た視点」が重要です。この組み合わせによって「変化が異なる」ことがわかってきました。
まず、投手側から見た視点です。投手側から見える回転は打者にも見えます。打者は向かってくるボールを見ることで、どのように回転しているかがわかります。
代表的な回転はバック・スピンとトップ・スピンです。バック・スピンがかかったボールは、「上に上がる」ように見える「伸びがある」ボールです。実際には重力のほうが勝っているので、「上に上がるように見える」だけですが、前述のように、無回転のボールよりは上に上がります。
バック・スピンがかかったボールは、投手から見て水平(真横)に回転軸があります。投手が指ではじくようにリリースすると、投手から見て図3-1の中の①のbのような回転がかかります。トップ・スピンは、バック・スピンの逆です。
投手から見て垂直(まっすぐ)に回転軸があるのがサイド・スピンです②。サイド・スピンがかかったボールは、打者から見て横に曲がります。右投手のスライダーは②のaの回転をするということを理解できるでしょうか?
ここまではそう難しくないのですが、投手の投球を立体的な視点で見ると、「上から見たときの回転軸」というのも大切です。これがジャイロ・スピン、ジャイロ・スピン成分と言われるものです。
球質を評価する「回転効率(Spin efficiency)とは?
ここまで、球質を見るときは、投手から見たときのボールの回転軸が重要であることを述べました。しかし、球質を評価するとき、立体的に見ると、もう1つの視点があることに気がつきます。それは、投球されたボールを上から見たときの軸の傾きです。球質の評価には、この軸の傾きも考慮しなくてはなりません。
図3-2にあるように、投球されたボールを上から見たとき、進行(投球)方向に軸が傾くことをジャイロ・スピン成分と呼びます。ジャイロ・スピン成分が進行方向に向けば向くほど、「ジャイロ・スピン成分が大きい」「ジャイロ・スピン成分が強い」といった言い方をします。進行方向に軸が傾いてジャイロ・スピン成分が強くなると、基本的には曲がりにくくなります。
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