今年の日経平均株価の高値はいくらになるのか 年後半は上昇しにくい展開になるかもしれない
これらを考えるうえで、とても大事な用語である「バリュー株」と「グロース株」を解説しよう。ひとことでいえば「グロース株(=成長株)」とは高いPBR(株価純資産倍率)の銘柄を指す。逆に「バリュー株(=割安株)」とは、割安で低いPBR銘柄のことを指す。広義では、PER(株価収益率)や配当利回りから割安・割高を判断して「バリュー株」と「グロース株」ということもある。
今回はTOPIXを構成する銘柄のなかで「PBR(株価純資産倍率)からみて割高な銘柄」を「TOPIXグロース」、割安な銘柄を「TOPIXバリュー」として2つに分け、解説(分析)しよう。
直近の約4カ月間は「バリュー株優位」
結論から言うと、マーケットが急騰し始めた2020年11月相場こそ、成長期待のグロース株(高PBRの割高株)が優位だったのだが、同12月~2021年3月は4カ月連続でお買い得なバリュー株(低PBRの割安株)が優位となっている。
特に、2021年2月と3月では、バリュー株とグロース株のリターン格差が大きくなった。具体的には2月はTOPIXバリューが前月比6.8%上昇したのに対して、TOPIXグロースは逆に0.4%下落した。また3月もTOPIXバリューが6.2%上昇したのに対し、TOPIXグロースは3.4%上昇にとどまった。
こうした2カ月間の値動き(バリュー株優位・グロース株劣位)は筆者の想定通りだったが、多くのマーケット参加者にとっては、想定外だったようだ。その背景には主に以下の3つの理由(①アメリカの追加景気対策、②同国のワクチンによる経済活動回復期待、③同長期金利の一時的な急上昇)が挙げられる。
特に、③はハイテク株などの高PBR・高PER銘柄の上値を抑えた(急落した銘柄もあった)。だが逆にメリットを受ける銀行株などは上昇した。加えて、①②により、(アフターコロナを織り込む形で)コロナ禍で大幅下落していた海運・鉄鋼など景気敏感なバリュー株も急上昇した。
わかりやすい切り口のためか、今年の3月以降はやたらに「バリュー株」と「グロース株」で相場を語る専門家が増えている。筆者は過去を分析するにはいいと思うが、今後、特に4~5月の予測をするのに使うのは気をつけたほうがいいと考えている。なぜならば、この期間は、あまり「バリュー株」か「グロース株」で差は出にくいと考えているからだ。
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