亀戸線、東武が目指した「都心乗り入れ」夢の跡

本線級設備に2両編成、ローカル色濃いミニ路線

ただ、2003年に押上駅を介しての半蔵門線との相互直通運転がはじまると、総武線との乗り換えは本線から乗り換えなしの錦糸町駅が便利、ということになってしまう。そうして亀戸線はお客を減らし、運転本数も現在の形になったというわけだ。

「資料を読む限りでは、越中島までの延伸計画は具体的にあったようですね。さらに都心方面、京橋や新橋までの計画もあった。何らかの形で都心に乗り入れようという、当時の人たちの思いがあったんでしょうか」(篠崎駅長)

都心乗り入れのルーツ

東武スカイツリーラインは、北千住駅から日比谷線、押上駅から半蔵門線に乗り入れて都心に直通する。その運行パターンは複雑でもあるが、スカイツリーライン沿線の利便性を高めている。これがすっかり定着しているのだが、これらの直通運転のルーツが亀戸線にあるといっていい。戦前、草創期の東武鉄道が目指した“都心乗り入れ”の夢。それが亀戸線には詰まっているのだ。

2両編成と短い列車ながら、地元の人たちを中心に利用は多い(筆者撮影)

「まあ、今では地域輸送の路線ですけれど。今はコロナで難しいですが、コロナ前は沿線の幼稚園とかにわれわれが制服を着て出向いてイベントをやったりしていたんです。リバイバルカラーの塗装もそのひとつですし、曳舟駅と亀戸駅の改札口には駅員が描いた車両のイラストも飾っています。亀戸線にかけて、隠れているカメを探してもらう、という趣旨で。小さいお子さまに親しみを持っていただきたいという思いから、企画したものですね。やはり亀戸線は、地域の中を走る路線ですから」(落合駅長)

3.4km、都心の中の短いローカル線。実際に乗ってみると、全線通して乗る人の姿は稀。途中の駅で乗って亀戸まで、もしくは曳舟まで。そこからは総武線やスカイツリーラインに乗り換えて都心に出るのだろう。あとは途中駅から途中駅のわずかな距離を移動して、日常の買い物に。下町の中、そんな日常が息づいている亀戸線は、東武鉄道大発展の結実の象徴ともいえるのかもしれない。

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