「縮小する日本市場」に中国企業が殺到する理由 新たな可能性が広がりつつある日中企業の連携
テック企業の海外進出は、中国企業のブランド力の向上と、中国発のビジネスモデル創出につながると中国国内で期待されているが、多くの課題に直面している。とりわけ、政治対立や現地市場の信頼獲得などの壁を乗り越える必要がある。
日本を目指す中国企業
積極的に海外進出に乗り出している中国企業が今、日本市場を目指し、日本が中国ビジネスの最前線になっている。その主な理由は以下のように考えられる。
まず、中国国内ではネット人口の増加が限界を迎えているため、多くの企業はグローバル志向を高めている。そうした中国企業は日本の魅力を再認識している。日本は先進諸国の中では比較的市場が大きく、かつ海外企業にも市場は開放されている。
マーケットが成熟し、消費者の目が厳しく、法規制が厳格な日本は、企業が自らの実力を測るにはうってつけの市場である。日本で成功できれば、ほかの先進国でも成功できる可能性が高いとの考えもあるようだ。
次に、政治の影響も大きい。米中関係が険悪化の一途を辿る情勢下にあって、中国政府は日中関係の改善に力を注いできた。2018年5月にトヨタ北海道工場を訪れた李克強首相は、「両国のイノベーション提携や対話の強化が共通認識となり、日中協力も第三国市場開拓も積極的に進めていきたい」と述べるなど、訪日を機に日中両国間の経済交流強化に向けた機運は高まっている。
そうした政治の動きに対応し、中国企業は改めて日本市場の開拓に積極的な意欲を示している。
中国企業の日本でのビジネスは、製品提供型とサービス提供型の2つに大別できる。本稿でも後者、とりわけ、企業向けビジネスの事例をあげたい。ここ数年、デジタル技術で先行する中国企業が日本企業と提携し、ノウハウやソリューションを提供する場面が急増しているからだ。
物流ロボットやスマート工場を中心に事業を展開するGeek+は、2017年に日本に進出し、同社の自動搬送ロボットや物流ソリューションサービスが大和ハウス工業やトヨタの工場、アスクルの物流センターなどで使われている。
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