心理学者が考えた「OKをもらえる」依頼の極意 知らない人に「家の中全部見せて」もらうには?

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誰かの考えを変えるのに苦労している?

そんなときは、押しを強くするのではなく、まず小さなお願いから始めてみよう。

本来のお願いを相手の許容のゾーンに入るまで小さくしていく。そうすれば、最初のお願いだけでなく、本来の大きなお願いにも応じてもらえる可能性が高くなるだろう。

肥満の患者に減量指導をする医師も、よくこの問題に直面する。

20〜50キロの大幅な減量が必要な患者の場合、医者のほうも大きな変化を求めがちだ。毎日運動しなさい、ジャンクフードを食べないように、デザートもいっさい禁止です、というように。

しかし、大きな変化は大抵失敗に終わる。医者のアドバイスは正しいのだが、実行できる患者はほとんどいない。もちろん肥満を解消したいのなら、運動は毎日するべきだ。

とはいえもう何カ月も、場合によっては何年も運動してこなかった人にとって、それは大きすぎるお願いだ。

肥満患者に「1日ジュース3L」をやめさせるには?

ダイアン・プリースト医師は、ある肥満のトラック運転手に減量させようとしていた。その男性はマウンテンデュー(甘い炭酸飲料)が好きで、仕事中はいつも1リットルのペットボトルを手元に置いていた。1日にだいたい3本は飲むという。

マウンテンデュー3リットルには、60グラム以上の砂糖が含まれている。それを毎日飲み続けるのは、1カ月に100本以上のスニッカーズを食べるのと同じようなものだ。

このトラック運転手が減量するなら、マウンテンデューを飲むのをきっぱりやめるのがいちばんの方法だろう。しかしそれはできない相談だということは、プリースト医師もわかっていた。そこで、小さなお願いから始めることにした。

飲む量を1日に2リットルまで減らしてみましょう、とプリースト医師は言った。3本飲んでいたのを2本にするだけだ。そしてトイレ休憩のたびに、空になったペットボトルに水を入れて、マウンテンデューの代わりに水を飲むようにする。

最初のうちはそれも難しかった。しかし努力の結果、1日に3本から2本に減らすことに成功した。

次にプリースト医師は、2本から1本に減らすように言った。トラック運転手がその目標を達成すると、そこで初めて、医師はマウンテンデューを飲まないようにすることを提案した。

その運転手は、今でもたまには缶入りのマウンテンデューを飲んでいるが、それでも10キロ以上の減量に成功した。

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