心理学者が考えた「OKをもらえる」依頼の極意 知らない人に「家の中全部見せて」もらうには?
商談相手との交渉に難航し、膠着状態に。説得したり、おだてたり、圧力をかけたり、ごり押ししたりと頑張っても結果は出ず、もう打つ手なし……。そんな交渉の場面に頭を悩ませるビジネスパーソンは少なくないが、相手の心を変えるためには「押す」戦略ではうまくいかないと言うのは、大学教授であり敏腕コンサルタントであるジョーナ・バーガー氏だ。
「それは無茶だ」と思うような突拍子のない要求でも相手にのませる交渉テクニックについて聞いた。
※本稿は『THE CATALYST 一瞬で人の心が変わる伝え方の技術』より一部抜粋・編集したものです
小さなお願いから始める
社内文化を変えたいのであっても、子どもに野菜を食べさせたいのであっても、強く押せば相手は思いどおりになると考えるのが一般的だ。情報、事実、根拠をこれでもかと提示し、理由を説明し、さらに少しばかり力を加えれば、人は変わるということになっている。
このような考え方の根底にあるのは、人間はビー玉と同じだという思い込みだ。どちらかの方向にはじけば、ずっとその方向に進んでいくと考えている。
しかし残念ながら、このやり方では逆効果になることが多い。人間はビー玉ではないので、思いどおりの方向に転がってはくれないのだ。むしろ、人間は押されたら押し返す。
強引な営業をかけられたクライアントは、もう電話に出てくれなくなるだろう。ボスの「考えておくよ」という言葉の真意は、「きみの要望は受け入れられない」だ。そして追い詰められた犯人は、諦めて投降するのではなく、銃を発砲するだろう。
それでは「押す」戦略がうまくいかないのなら、いったいどうすればいいのだろうか?
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