脳神経学者が直伝「何時間でも集中が続く」方法 漫画はなぜ徹夜で読める?実は時間に限界なし

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例えば、「徹夜での勉強は効率が悪い」と言われますが、実際に徹夜での一夜漬けの結果、翌日の試験で最高のパフォーマンスを発揮した経験はないでしょうか。

あるいは、商品の納期やプロジェクトの締め切りに向け、チームメンバーとともに一心不乱で仕事に打ち込み、何時間も没頭した末、すばらしい成果を上げたことはありませんか。人の命を預かるドクターは、ときに10時間を超える手術に挑みます。もちろん小休止はあるにしても、何時間も高い集中状態を維持し続けるわけです。

大人買いした漫画をワクワクしながら全巻読破し、気づいたら空が白んでいた日曜日の朝。ひたすらボールを追ううちにグラウンドが真っ暗になっていた部活時代のある日。そこで発揮された集中力は、一般的に言われている集中の法則とはかけ離れたものだったはずです。90分どころか、3時間、4時間と集中状態が持続し、想像以上の成果に結びついたでしょう。

もし、あなたがそんなふうに例外的な集中体験を持っているなら、自分で経験し、発揮した集中力とそのポテンシャルを信じてください。私はかつて、毎日2時間の睡眠時間でUCLAの神経科学の授業に食らいついていきました。根性論で「だからできる」と言いたいわけではありません。集中力の繊細な一面を理解したうえで、適切な条件を整えてあげれば、あなたはすばらしい集中状態を作り出すことができるようになるのです。

「凜とした脳」の状態をつくることが重要

では、適切な条件とはどのようなものでしょうか。それは「心理的安全性」が保たれている状態です。心理的安全性が保たれている状態とは、あなたが不安や恐れを感じることなく、あるいは不安や恐れを感じたとしても支配されることなく、脳が安心して思考し、あなたが発言や行動できる環境にいることです。

1人で思索にふける時間も当てはまりますし、誰かと議論をし、反論や疑問を投げかけるような場面、自分の弱みをさらけ出しても、信頼が揺らがないと感じられる人間関係・コミュニティがある状態も当てはまります。心理的安全性は、集中状態の質や持続に大きな影響を与えるのです。

抽象的な表現になりますが、私は集中力を極限まで高めていくには「凜とした脳の状態」が重要だと考えています。凛とした脳の状態とは、自制心が働き、落ち着いた心のことです。

集中力を持続させたい、途切れた集中状態を取り戻したいと願うとき、そのベースとなるのは凜とした脳の状態です。自制心が働き、落ち着いた心を作ることが集中力を発揮するための土台となります。

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