ウォークマン、グーグル、スタバの意外な共通点

成功の理由は「余計なものを省くこと」だった

商品やサービスにはたくさんの機能を詰め込めばいいと考えがちですが、逆のことを試したほうがいいケースも多々あります(写真:kai/PIXTA)
ロジカルに考えれば、安価な商品のほうが高価なものよりも売れ、多機能な商品のほうが、機能が少ないものよりも売れるのが当然だろう。
しかし、現実のビジネスの世界においては、これらの常識を否定するような成功事例にあふれている。私たちは、自分たちは日々合理的に物事を判断していると考えたがり、無意識に影響されているなどとは考えもしない。だが、人間の心理や行動はロジカルには進まない進化がもたらしたものであり、ロジカルな思考によっては理解できないことが多いのである。 
今回、世界的な広告会社オグルヴィUKの副会長が、人々の心理に働きかけ、行動を変えるさまざまな「魔法」について書いた『欲望の錬金術』から、一部を抜粋・編集してお届けする。

市場調査で反感を持たれたウォークマン

経済学のロジックは、より多いことがよりよいと提案する。心理(サイコ)ロジックは、より少ないことがより多いことになると信じている場合がしばしばである。

『欲望の錬金術』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

盛田昭夫は、日本で17世紀の半ばから酒の製造と販売を、そして19世紀の半ばごろから醤油や味噌の製造と販売も行ってきた家の出身だった。盛田はビジネスパートナーの井深大とともに、1946年にソニーを(東京通信工業株式会社という名称で)創業した。

同社が最初に焦点を当てた製品はテープレコーダーで、その後は日本初のトランジスタのポケットラジオを発売した。だが、盛田が天才ぶりを遺憾なく発揮したのはおそらくソニー・ウォークマンを製造したことだろう。これはいわばiPodの祖先である。

1975年以降に生まれた人にとって、人々がヘッドフォンをつけて歩き回ったり、電車の中で座ったりしている光景は少しも奇妙ではないだろう。だが、1970年代の後半にはこんな行動はとてもおかしなものだった。

1980年代後半の、人前で利用することがばかげていると思われかねない、初期の携帯電話を使っている光景に匹敵するものだっただろう。市場調査では、ウォークマンに関心を持つ人は非常に少なく、かなり反感を持たれていると判明した。

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