ほかにランクを大きく上げたのを探せば、31位からベストテン入りを果たした日本電産。業績の上振れとEV関連人気で株価が動意づき、4兆円以上も時価総額を膨らました。
足元は半導体不足が続くものの、活況の半導体関連も順位を大きく上げた。その筆頭が32位から14位に上昇した東京エレクトロン。半導体製造装置の活況で業績の上振れが続いている。
同じく18位から12位に順位を上げたのが信越化学工業。SUMCOと並び半導体ウエハで世界首位。アメリカの経済対策効果で塩ビ事業の好転が見込まれるだけに、2021年3月期が減益となる見通しでも株価は上場来高値を更新した。
工場火災で半導体不足の一因を作ったルネサスエレクトロニクスも76位に大きくランクアップ。期初の保守的な見通しから相次ぎ増額となったアドバンテストも82位に顔を出した。
指標面で割安サインが点灯し続けてきた商社も人気化した。昨年8月末のバフェット買い判明で動意づいた商社は、時価総額を増加させている。
コロナワクチン開発が進捗して景気回復が高まる中、物色が進んだのが伊藤忠商事。時価総額を2兆円以上増やし、23位へランクを上げた。最高益を連続更新する好業績、積極的なM&A戦略も好感されて商社トップとなっている。三菱商事も時価総額を1兆円ほど増やしたもののランクダウン。一方で、1.3兆円増やした三井物産は45位から37位に順位を上げた。
菅政権誕生で順位を下げた通信大手
前年2位だったNTTドコモは、NTTに吸収されてランキングから姿を消したが、3位だったNTTはドコモを取り込んでも5位に後退。KDDIも7位から11位へ。通信のソフトバンクも9位から15位へそろってランクダウンとなった。
いずれも高利回り銘柄だが、携帯料金の引き下げを迫る菅政権の誕生が明らかになると株価は大きく調整。時価総額の増加幅も他社に見劣りする結果となった。
順位を下げた銘柄で目立つのが、1年前に注目を集めたウィズコロナ銘柄の一角だ。特に7300億円も時価総額を減らしたのが花王。1年前はアルコール除菌剤やハンドソープの販売増を好感し、株価が高水準にあった。
しかし業績面では化粧品事業の不振が響く。2020年12月期の減益決算に続き、2021年12月期も横ばい見通しを示したことでさらに下落。株価は底値圏での値動きが続き、足元も上値が重い展開となっている。
時価総額の増加幅が少なく、ランクダウンとなったのが54位のテルモ。人工呼吸器の特需があり株価も上昇したが、ワクチン相場で人気が後退。同様にマスクなどの衛生用品が人気で47位まで上昇していたユニ・チャームも57位となっている。ランク外に消えたのが明治ホールディングス、麺類メーカーの日清食品ホールディングスや東洋水産も時価総額を減らした。
また、客足が激減した鉄道各社も時価総額を大きく減らした。2400億円以上も時価総額を減らしたJR西日本が前年の82位からランク外に姿を消したほか、1500億円以上の時価総額が消えたJR東海は27位から43位に順位を下げた。
1年で顔ぶれを大きく変えた国内主力銘柄の顔ぶれ。1年後に笑うのはどこか。新年度業績の浮沈に注目が高まっている。
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