今が旬!今日も「タンポポ」摘んで食べてます 忘れられない「腰を抜かすほど」の未知の世界

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もちろんやる価値はあるだろうが、その作業自体が見た目にかなり怪しいので、そこらの道端など人目につくところで所業に及ぶのははばかられた。田舎の友人宅などへ遊びに行ったときに腰を据えて取り掛かる必要があろう。ということで、これはいまだに「夢の味」のままである。

「人生究極の味」ツクシのオリーブオイル炒め

カラスノエンドウも面白い。これはタンポポと違って、おそらくほとんどの人が聞いたことがないであろうマイナーな雑草だが、いったんその姿形を覚えてしまうと、都会の空き地にも案外ポップに生えていることに気づく。

先端の柔らかそうなところを摘んで、塩で湯がいておひたしにして食べるのである。シャキシャキした食感と、案外しっかりとした豆の風味にこれもまた驚いてしまう。

近所の公園の脇に自生しているツワブキを発見!(写真:筆者提供)

なるほど確かに名前をよく見たらエンドウだもんね! そう思ってもう一度その姿を見直すと、確かに茎の先端がくるくる渦巻いて、細くてちっこいが、ジャックと豆の木の絵本に出てくる豆の木と同じ姿である。

ツワブキは、フキの一種。都会でも誰かが育てたものが広がって空き地や道端などに自生しているせいか、フキよりも見つけやすい。春に伸びる柔らかな新芽をとって食べる。

さっそく一部を収穫。新芽なのでアク抜きせず、細かく刻んで厚揚げと炒めて味噌味で食べる(写真:筆者提供)

アクが強いので、ネットなどで調べるとアク抜き方法がこれでもかと書いてあるが、収穫時期や料理法によってはアク抜き不要と私は思う。細かく切って油でよく炒め、味噌を混ぜて「フキ味噌」にするのが私の定番だ。このまま酒のつまみになるし、厚揚げやこんにゃくに塗って焼けば田楽である。トーストに塗ってもおいしいんじゃないかと思う。

春に田舎に行くと、必ず目を皿にして探すのがツクシ。食べ方としては卵とじが一般的に知られているが、わが知人の杜氏が「人生究極の味」と語った食べ方が忘れられないのだ。

なんとツクシのオリーブオイル炒め。その名のとおりそのままオリーブオイルで炒めて塩胡椒をするだけなんだが、これも人生を変える味であった。ただツクシは田舎でも時期を逸するとまったく収穫できないので、5年ほど食べることができないでいる。

と、こんなことをしていると本当に楽しくて仕方がなくせっせと採集にいそしむことになるわけだが、もちろん、その過程でさまざまな失敗もした。また、最も気を付けなければならないのは不用意に野草を食べて毒に当たることである。次回はその失敗談と注意事項、そして貴重な教訓について書きたく思う。

稲垣 えみ子 フリーランサー

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いながき えみこ / Emiko Inagaki

1965年生まれ。一橋大を卒業後、朝日新聞社に入社し、大阪社会部、週刊朝日編集部などを経て論説委員、編集委員をつとめる。東日本大震災を機に始めた超節電生活などを綴ったアフロヘアーの写真入りコラムが注目を集め、「報道ステーション」「情熱大陸」などのテレビ番組に出演するが、2016年に50歳で退社。以後は築50年のワンルームマンションで、夫なし・冷蔵庫なし・定職なしの「楽しく閉じていく人生」を追求中。著書に『魂の退社』『人生はどこでもドア』(以上、東洋経済新報社)「もうレシピ本はいらない」(マガジンハウス)など。

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