商船三井に惨敗の日本郵船、それでも愚直に総合路線

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海運業は差別化困難 NVOで市況変動相殺

工藤社長は「ケープサイズは結構な数をすでに発注済みだから、焦って造ることはない」と意に介さない様子。市況運賃での運航を1割にとどめているのも、「あくまでも顧客の急な需要に備えるため。2割とか3割の船で市況変動のリスクを取りにいった商船三井のほうが正しかったかもしれないが、運賃がよかった、悪かったというのはウチのビジネスモデルではない」(工藤社長)。

商船三井のように市況を読む力で勝負するのではなく、市況変動の影響を薄めるために先代の宮原時代から進めてきたのが、海・陸・空を手掛ける総合物流路線だ。

工藤社長は「海運業は船も同じ、船員も同じでコモディティ化し差別化困難。総合物流で付加価値をつけるしかない」と総合路線が間違っていないことを強調するが、これまではむしろ収益の足を引っ張ってきた。たとえば、貨物飛行機を運航している子会社NCA(日本貨物航空)は毎期200億円前後の巨額赤字を垂れ流し続ける。

3月には日本航空(JAL)の貨物部門とNCAとの経営統合交渉が決裂するなど総合路線の先行きには暗雲が垂れ込めている。それなのに、「NCAは単独でやっていけるメドがついた」と工藤社長は強気の姿勢を崩さない。

確かに、航空貨物最大手のJALが貨物専用機から撤退することで2位のNCAに顧客増の追い風が吹くほか、JALの貨物部門の従業員1万6000人強を抱え込まずに済んだのも幸運だった。

一方で注力しているのが、船や飛行機を持たず、顧客の要望に応じてスペース(運搬能力)を手配するNVOCC(非船舶運航業者、以下NVO)だ。航空主体のNVO子会社・郵船航空サービスと海上主体のNVOの本体物流部門との統合を急ぐ。2年後をメドに主力の海外を含めた統合を完了する。

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