商船三井に惨敗の日本郵船、それでも愚直に総合路線

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運賃が上がれば本体のコンテナ船部門の採算がよくなるが、NVO子会社は仕入れ費用増になる。逆に運賃が下がればコンテナ船は悪化するが、NVOは改善する。トレードオフの関係で市況の影響を打ち消す作戦だ。

ただ、総合物流路線の開花を待つのも限界に近づきつつある。有利子負債は1兆円強で、有利子負債を株主持ち分で割ったD/Eレシオは、かつては日本郵船のほうがよかったが、3年前に商船三井が逆転。10年3月末は1・64倍と商船三井(同1.18倍)に水を空けられている。

財務、時価総額も逆転 迫られる戦略見直し

日本郵船は「コンテナ船の赤字がズルズルと続いた場合を想定して」(工藤社長)、昨年12月に1100億円の巨額増資をした。実に40年ぶりの公募増資だった。

工藤社長は、「コンテナ船は上期の経常赤字(366億円)が最低2年続くと思っていた。実際には回復傾向にあり、今にして思えば増資は本当に必要だったか」と余裕を見せる一方、自社船よりも多いオフバランスの用船を仮に借金してでも自前で持てば、かつ、「増資をしていなければ、D/Eレシオは実質3倍以上になるところ」とも明かす。

昨秋に「ライトアセット化」と称して実質保有を含めたコンテナ船の隻数を60隻へと半減する方針を打ち出したのは、長期用船や自社船と、NVOとのバランスを見直して市況変動リスクを平準化する戦略的な理由と、財務を改善する目的からだった。攻防の一手を打たねばならぬほど、日本郵船の内実は厳しい。

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