商船三井に惨敗の日本郵船、それでも愚直に総合路線

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“長契化”を推し進めてきたことも、足元では収益力をいっそう弱くしている。「ケープサイズの運賃市況が1日20万ドルとか18万ドルだった08年に、中国鉄鋼メーカーと3万~3万5000ドルで20年などの長期契約をしてきた」(工藤社長)。

3万ドル台では1日1万ドルくらいの利益しか出ないが、09年の最高が9万ドル強、最低がわずか1万ドル弱だったことからわかるように、ケープサイズ運賃は振れ幅が大きい。目先の利益よりも、将来の安定収益基盤を確実に増やしておこうというのが先代の宮原社長時代から引き継いだ戦略だが、このせいでバラ積み船の部門利益は伸び悩んでいる。

そんな日本郵船にも千載一遇のチャンスが訪れようとしている。「商船三井が安く仕込んだ船は12年くらいから船主との期限切れが始まる。12年からはコスト競争力の差があまりなくなる」(工藤社長)。

新造船は自社ですべて保有するとリスクが大きい。そこで日本郵船や商船三井は、四国や九州の船主(船舶保有専門会社)に船を持ってもらい、それをリースバックしている。財務上はオフバランスで契約期間は5年ないし10年だ。バラ積み船担当の小笠原氏も「契約満了の相次ぐ12年には経常利益で商船三井に追いつきたい」と目を光らせる。

商船三井の次期社長に内定している武藤光一専務は「(コスト競争力の)差が縮まることは事実」とあっさり認める一方、「縮まるだけで、日本郵船が商船三井に追いつくとは考えられない」と断言する。

そのことは小笠原氏も痛いほどわかっている。だからこそ「船価が安い今こそ新造船の仕込みをすべきでは」と思いあぐねる。また、「『愚直に長契』は日本郵船のDNAみたいなものだが、長契化を進める一方で、マーケットに対応する船も増やす必要がある。長期契約の比率を現状の9割から、8割あるいは7割5分に下げてはどうか」とも気をもむ。

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