SNSがトランプ危機を引き起こしたカラクリ

サイバー法の権威・レッシグ教授が問題を指摘

トランプ氏支持者が連邦議会占拠事件を起こした後、ツイッターやフェイスブックなどのSNSはトランプ氏のアカウントを凍結した(写真:Bloomberg)
今年1月6日の連邦議会占拠事件にまで拡大したトランプ氏支持者の暴走。陰謀論などの舞台となったSNS(交流サイト)への批判は鳴り止まないが、具体的に何が問題だったのかーー。
1999年に出版した著書『CODE』において、インターネットは著作権の過大な保護のみならず、表現の自由やプライバシー、民主主義システムの維持にも危機をもたらしかねないといち早く警鐘を鳴らしたローレンス・レッシグ=アメリカ・ハーバード大学教授。SNSの構造問題を解き明かし、その対処法について話してもらった。

ネット広告のビジネスモデルが諸悪の根源

――あなたが21年前に執筆した著書『CODE』は大変予言的でした。まるでプライバシーや表現の自由をめぐる今日の混沌ぶりを見抜いていたかのようです。トランプ大統領時代の混乱や危機は想定の範囲内でしたか。

もちろんずっと悪いですね。『CODE』ではインターネットの設計思想と規制の関係を論じましたが、今の本当の問題は、プラットフォーマーがビジネスモデルとして広告を取り入れていることにあります。

広告は、ユーザー1人ひとりを深く理解することで成り立っています。つまり、多くの個人データを収集することが彼らの商売なのです。そしてデータを収集すると、ユーザーを煽り、熱狂的にさせてさらに多くのデータを出させる方法を学んでいます。このようにして、プラットフォーマーのビジネスモデルは公共問題について人々を偏向させ、無知にさせる影響力を持っています。

これは、TCP/IP(インターネットの通信プロトコル、設計思想の意味)のせいではなく、広告のせいです。われわれは将来もインターネットとともに生きることになるでしょうが、いま問われているのは、異なるインターネットのビジネスモデルを持てるかどうかです。

――もう少し詳しく教えてください。本格的なインターネットの普及が始まったのは1990年代。インターネットが「おかしくなった」のはいつ頃からですか。

グーグルなどのテックカンパニーが、現在のような広告のビジネスモデルの可能性を発見したときからです。ショシャナ・ズボフ氏(ハーバード大学ビジネス・スクール名誉教授)が『監視資本主義の時代(The Age of Surveillance Capitalism)』に書いたように、それはまったくの偶然でした。

グーグルは、ユーザーがクリックしたり検索したりするたびにデジタル的に排出されるデータを、ゴールドに変えることができることを発見しました。ユーザーが何をしているのかをウォッチし続けることによって、その人をよりよく理解できるからです。それが、グーグルが最初に行ったことです。

しかしその後、フェイスブックはその戦略を強化し、現実の空間にいる実在の人物に結びつけて、個人がもっと多くのことを明らかにするように誘導する戦略を採りました。

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