SNSがトランプ危機を引き起こしたカラクリ

サイバー法の権威・レッシグ教授が問題を指摘

――法的な規制は必要ですか。

広告すべてを禁止しようという意見もありますが、私は賛成しません。アマゾンやネットフリックスが次の本や映画を推奨するためにデータを使うのはいいことです。一方、敵対者の政治的発言を観たり読んだりするかどうかを広告が判断するのは問題です。人々に行使する影響力の文脈において、規制すべき対象を区別していく必要があります。

過去100年を振り返ると、人々が事実を理解する共通の土台をもつとき、大きなスケールでも民主主義社会は機能することがわかります。私たちはもはや、みんなで少数のテレビチャンネルを観るといった時代に戻ることはできません。しかし、世界がどうなっているかについて、人々を異なる見解を持つ小さな単位に分割し、分断しようとするインセンティブに対しては戦っていかなければなりません。

欧州のやり方は効果的でない

――EU(欧州連合)が2018年に施行したGDPR(一般データ保護規則)には批判的な立場ですね。

(注)GDPR:EU居住者の個人データ保護が目的に導入。「ユーザーは自分のデータを自身でコントロールする権利を持つ」という考え方を基本とする。自身の個人データの削除をそのデータ管理者に要求できるなどの規則がある。

反対はしませんが、GDPRは効果的でないと思います。この制度は、ユーザーが個人データ利用をどうするかを選択できるようにすれば、プライバシー問題は解決するという信念を前提としていますが、それは間違っています。実に多様なデータ利用についてユーザーは理解できません。愚かだからではなく誰にもそんな洞察力や時間はないからです。データ利用の未来がどうなるかなんて誰も予測することはできません。

ですから、そうしたものではなく、適切なデータ利用とそうでないものを事前に区別しておくような規制モデルを開発すべきです。中間にはあいまいなため個々人の同意で対応すべき領域もあるでしょう。しかしユーザーが合理的な判断を下せるようにそうした領域はできる限り小さくすべきです。

アメリカではあまりにも多くの人が立候補するという問題があり、昔、シカゴでは300人もの名前が書かれた投票用紙が存在したことがありました。市民に民主的な選択をさせているのだから素晴らしいと言えるかもしれませんが、現実には人々は300人もの名前を知りません。実際には個人に力を与えるものではなく、個人に力を与えているように見せかけているだけです。GDPRとプライバシーの問題でも同じことが起こっているのだと思います。

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