「技術革新の追求を礼賛する人」に伝えたい真実 失敗例は多数!机上の空論より優先すべきこと

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1974年、当時世界最大の電機メーカーだったGE(ゼネラル・エレクトリック)社は、2000年までにアメリカの電力の約90%が高速増殖炉によって発電されるという予想をぶちあげた。しかし、GEは世間に広がっていた期待に応えて、そう予想しただけだった。

1970年代、フランス、日本、ソ連、イギリス、そしてアメリカの各政府は、高速増殖炉の開発に巨額の公的資金を投入していた。だがコストが高く、技術的な問題が山積したうえ、環境への悪影響の懸念も高まったため、イギリス、フランス、日本、アメリカ(そして規模は小さいながらもドイツとイタリア)の計画が中止に追い込まれた。

ところがその一方で、中国、インド、ロシアはいまだに実証炉の開発に取り組んでいるし、日本も研究開発を再開している。これまで、こうした国々は60年以上にわたり、こんにちの金額に換算すると総額1000億ドルをゆうに超える大金を高速増殖炉に費やしてきたというのに、実際のところ、商業的な見返りはまったく得られていない。

ほかにも、成功の見込みが高いとされていたにもかかわらず、まだ利益をあげていない基礎研究のイノベーションとして、水素(燃料電池)自動車、磁気浮上式鉄道(リニアモーターカー)、核融合エネルギーなどがある。とくに核融合エネルギーは「イノベーション」ともてはやされた計画の中で実現の可能性が最も低いと考えられていて、評価は下がる一方だ。

サマータイムと航空機の搭乗方法はうっとしい失敗例

さて、失敗に終わったイノベーションの第2のカテゴリーに分けられるのは、もうやめるべきだとわかっているのにあいもかわらず続けているもので、これには日々の習慣から学術的な理論まで、さまざまなイノベーションが当てはまる。

とくにうっとうしい例を2つ挙げるとすれば、サマータイム制と航空機の搭乗方法だ。まずは、サマータイム制。なぜ、私たちは半年おきにサマータイムに従わなければならないのだろう? 実際のところ、それで何かが節約できるわけでもない(省エネになるという触れ込みではあるが)。

そしてもう1つが、航空機の搭乗方法だ。民間の旅客機の搭乗にかかる時間は、1970年代から年々延びている。今の効率の悪い方法よりも速く搭乗できる方法がいくらでもあるのに、何の手も打たれていないのだ。

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