自動車「ハッキング」されるとこんなにも危ない 自動化する車、高まるサイバー攻撃の脅威

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自動車のサイバーセキュリティー対策は、航空機以上にハードルが高いかもしれない。コンサルティング大手マッキンゼーの報告書によると、最新の自動車には約150の電子制御ユニットが搭載され、約1億行のコードが動作している。コードの行数は、自動運転や車車間通信の登場によって2030年まで今の3倍に増加する可能性もある。

一方、最新の旅客機のコードは1500万行、一般消費者向けパソコンを動かしているOS(基本ソフト)のコードはおよそ4000万行にすぎない。自動車のコードの複雑さは明白だ。

トラックがさらされる脅威はさらに大きい

自動車メーカーは、死亡事故などにつながるハッキングを許せば会社を揺るがす大問題に発展しかねないことを理解している。それどころか、車内の画面に予期せぬメッセージが表示されるといった軽微な攻撃を許すだけで企業イメージには簡単に傷がつく。ドライバーはマイカーを究極のプライベート空間と考える傾向があるからだ。

自動車をサイバー攻撃から守るには、多面的な防御が必要になる。悪質なコードが埋め込まれたSIMカード、ワイヤレスによる偽のソフトウェアアップデート、スマートフォンから自動車に送信されるコード、自動車のセンサーやカメラを誤作動させる偽情報など、脅威は多岐にわたる。

自動車の故障診断などに使われるOBD-IIというコンピューターにデバイスを接続したときに悪質なコードが侵入する場合もある(OBD-IIの接続ポートは通常、ステアリングの下にある)。

運送会社のトラックがさらされている脅威はさらに大きいと話すのは、ガードノックス・サイバー・テクノロジーズのモーシェ・シュリセルCEOだ。サイバー攻撃によって全車両を使えなくされ、身代金を要求される可能性があるという。

「大規模な攻撃が発生するかどうかは、もはや時間の問題にすぎない」とシュリセル氏。「サイバー攻撃に最も強い車種は(100年以上前につくられた)『フォード・モデルT』だ。何にもつながっていないからね」。

最新型の自動車なら、脆弱性が見つかってもワイヤレスのアップデートでソフトウェアを修正することはできる。だが自動車業界が目指しているのは、電子システムの守りを固め、そのような事態に陥らないようにすることだ。車外の世界に最もさらされているオーディオ、ナビ、電話のシステムも例外ではない。

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