いかがですか。それぞれが社会的課題の解決に取り組んでいて、思わず応援したくなるような起業家たちではないでしょうか。しかし、このようなスタートアップ間もない起業家の多くは、「想い」や「技術」や「ビジネスモデル」はありますが、企業を成長させるために必要な人材、資金、ネットワークが不足しています。
このような起業家を、民間のベンチャーキャピタル、スタートアップアクセラレータ、弁護士、公認会計士などの専門家や先輩起業家が積極的に支援して、「成功事例」を出しつつ、民間の支援者の層を厚くすることがエコシステム形成に繋がります。
トップクラスの「目利き」の支援で成功モデルを
経済産業省の「新事業創出のための目利き・支援人材育成等事業」(通称:目利き事業)はそのような観点から、優れた起業家を民間のプロの力で応援する事業です。成長戦略で「目利き・支援人材」の育成プロジェクトが掲げられたことを受け、経済対策の補正予算事業として2013年から実施されています。
事業のスキームは、①国が委託した事務局で日本のトップクラスのベンチャー支援者を選ぶ、②モデル事業として支援者が自ら支援したいベンチャーを発掘、推薦、③民間の審査員が支援者の推薦を重視しつつ支援案件を選定。④採択されたモデル事業に1件2000万円を上限に国が資金供給し、支援者が支援事業を実施、⑤支援者ネットワークを形成し、支援の状況・結果、得られたノウハウ・知見を共有しつつ次世代の支援者に展開する、というものです。
通常の補助事業は、採択案件を公募し、国が審査して選ぶという形態をとりますが、目利き事業は、案件の掘り起こしや選定の過程から民間のプロに任せて、補助金の使い方も民間の支援者がコントロールするというスタイルです。
冒頭、紹介した「和える」、「ビーサイズ」はトーマツベンチャーサポートが、「WHILL」は伊藤忠テクノロジーベンチャーズが、「aba」はグローバルブレインが、「LOUPE」はETIC.が支援者として伴走しつつ、経営戦略や財務戦略の策定、マネジメントチームの形成、事業提携先の探索、マーケティングの支援を実施しています。この結果、売り上げが増加、経営が安定、ネットワークが拡大するなど成長促進効果が出ています。
支援者には、この他、グロービス・キャピタル・パートナーズ、東京大学エッジキャピタル、インキュベイトファンド、WERUインベストメント、Draper/NEXUS、MOVIDA、ブレークスルーパートナーズ、インターウォーズなど錚々たる面々が並びます。それぞれが見つけた将来性のあるベンチャーに対して、コマーシャルベースで実施する支援よりも一段階早いシードステージでの支援を思い切って実施し、そのノウハウを共有しています。目利き事業の状況は、Jump Start Nippon のサイトで公表しています。ベンチャー支援者、頑張るベンチャー、支援活動のショーケースとしてぜひご覧ください(本年度募集は終了し、現在32のモデル事業を実施中)。
大学の研究室から新事業を
文部科学省では、「大学発新産業創出拠点プロジェクト」(通称:START事業)で民間のプロの力を活用し、大学の研究開発成果の事業化を進めています。
従前の大学発ベンチャーは、大学内の狭いネットワーク・人的資源のみを活用して起業し、事業化や資金繰りの支障をきたす例が多々ありました。研究者は企業経営については素人であるのが通常ですから、当然に起こる事態です。
こうした課題を解決するため、2012年度にSTART事業が始まりました。この事業は、①ベンチャーキャピタル等の民間の事業化ノウハウを持ったチームを事業プロモーターとして選定、②全国から公募で集められた大学の技術シーズを事業プロモーターが目利きした上で、審査会で支援案件を決定、③大学等の研究者と事業プロモーターによる二人三脚の体制が構築、④補助金により、概ね3年間の研究開発・事業化を実施、というスキームです。
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