新型「ハリアー購入者」に見るトヨタSUV戦略 フルラインナップですべての競合に勝つ盤石さ
“なんとなく感じていること”をデータで確認することの価値は、メーカーの狙いがユーザーに「どれほど届いているか」「車種のキャラクターは際立つものになっているか」などを可視化できることにある。先程の比較対象になっている理由について、車種ごとのキャラクター・個性の観点で見ていく。
まずは、何を前提条件としてクルマを選ぶかを表す「購入時の前提条件」を紹介する。目を引くのは、それぞれの車種の強みがしっかりとユーザーに届き、ニーズとマッチしていることだ。
フォレスターであれば「特定の機構(4WDなど)」「安全運転支援機能」(=アイサイト)、CX-5ではSUVを求めるマツダユーザーが多いことから「ボディタイプ」、そして「クリーンディーゼル」といった特徴がはっきりと出ている。
そしてハリアーでは「車名」の高さが際立つ。以前の「ジムニーの購入者分析」でも取り上げたが、一般的に「車名」のスコアが高くなるには、車種に歴史があり、長きにわたり愛されてきたという要素が必要となる。35.9ptというスコアは相対的にかなり高く、2000近い車種を対象に高い順で並べたときの上位5~10%に位置する。
ちなみに最上位にランクインするのは、メルセデス・ベンツ「Gクラス」、ポルシェ「911」、日産「フェアレディZ」、三菱「ランサーエボリューション」などの高級車やスポーツカーが多い。そういった中で販売台数の多いハリアーのスコアが高いのは、競合車と一線を画したブランドを築き上げていることを示していると言える。
NXも30ptを超えているが、2014年の登場からの全期間で見ると約25ptである。2019年4月以降購入者に絞っている今回の対象者では31.7ptであるので、時間が経つ中でターゲットに対して「車名」がしっかり届くようになったのだろう。
デザインのハリアー、実用性のフォレスター
続いて「購入時の重視項目」から、購入者が求めていたことを確認してみよう。どの車種でも共通して高いのは「スタイルや外観」。この項目はどのメーカー、セグメントの車種においても基本的に高く出るのだが、今回の5車種では差が出ている。最も高いのはハリアーだ。
ハリアーでさらに特徴的なのは、「内装デザイン」「品質や仕上げのよさ」といった実用性というより高級感を演出する項目の高さである。NXと似ている部分が多いのも興味深い。
フォレスターは「荷室の大きさ」「悪路や雪道の走破性」「走る楽しさ」「安全運転支援機能」といった実用性および走りに関する項目が高く、ハリアーの対極といえそうだ。
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