東日本大震災、被災地企業の明暗「10年の記録」 ベテラン映像作家の記録がBCPの学習教材に
下地地区減災連絡会の事務局長も務める坂本茂雄・高知県議会議員は、「地域の防災力を高めるうえでも企業による関与は重要だ。田中氏が制作したDVDのリアルな映像は、経営者の認識を高めてもらうのに役に立つと考えた」と説明する。
講演会の参加者からは「迫る南海トラフ地震。地域防災の世話役をしながら、自らの零細企業の事業継承のことをつねに考えています。『地震津波保険』の検討と、『地域のグループ保険』『業務提携先企業との災害時相互支援協定』は、早急に検討したいと思いました」(地元のコミュニティー新聞)という感想があがっている。
常日頃から同業と協定を
これらはいずれも、田中氏が東日本大震災における中小企業への取材を通じてつかみ取った教訓で、常日頃から指摘している課題だ。震災を乗り越えて事業拡大につなげた石巻市の缶詰製造企業は、甚大な被害を免れた岩手県のほかの缶詰製造企業に生産を委託。早期復旧の手がかりにした。田中氏は「有事を想定し、常日頃から他地域の同業との協定の締結」の必要性を指摘する。
田中氏の撮影した映像記録は10年に及ぶ。この間、被災地の水産加工業は、水揚高の激減による原料の仕入れ価格高騰や消費者の嗜好の変化といった新たな構造変化にも直面している。コロナ禍にも見舞われ、工場の再建こそ果たしたものの、再建過程で抱えた新たな借入金返済の重圧も強まっている。
田中氏は震災から10年を迎えた5社の状況の取材を進め、新たな映像製作に着手。3月末までの期限でクラウドファンディングを通じて制作資金を広く募っている。同時に、DVDの活用を広く呼びかけている。
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