インバウンド消滅でも「中国人の爆買い」招く策 メイドインジャパンは相変わらず人気が高い

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インバウンド消滅後のカギとなるのが越境ECです(写真:アフロ)

コロナ禍で、インバウンドがほぼ消えかけている一方、経産省の調査によると、日本から中国への越境EC(B2C)の市場規模は、2013年の3902億円から2019年の1兆6558億円まで4倍に成長している。中国の越境ECプラットフォームの中でも日本製品は相変わらず人気だ。

しかしながら、越境ECへの進出を考えている企業や、進出したが売り上げが伸び悩んでいる企業からは、「どうやったら中国の消費者にウケるのかを知りたい」「日本では有名だけどTmall Global(アリババの運営する越境EC専用サイト)に出店しても売れていない」「ライブコマース(生中継)を使っているがコストが高いし、割引しないと売れない」などの声も聞こえてくる。

そこで今回は、中国向け越境ECについて、特によく苦労する①ターゲティング(誰に売るか)、②プロダクト(何を売るか)、③プロモーション(どのように売るか)について、具体例を交えながら、検討してみたいと思う。

ニーズも地域や年齢によってさまざま

まずはターゲティングについて考えたいと思う。越境ECの主力層である女性を例にすると、売り上げの低迷に悩む企業の越境ECやインバウンドのターゲティングは、「中国人女性」や「富裕層」と一括りにしがちである。しかし、それでは中国の消費者像は詳細には把握出来ていない。

中国において、ターゲットを考える際に、少なくとも「世代」と「地域」でわける必要がある。1960年代から1970代の文化大革命、そのあとの改革開放と1人っ子政策によって、特に50代以上の女性と30代以下の女性の間で、生活環境・教育・価値観・嗜好・消費行動の違いは大きいのだ。

また、同じ年齢だとしても、経済・環境・文化の違いがあるため、地域ごとの嗜好・特徴が異なる。例えば、南部に位置する湖南省なら、湿気が多いため、除湿機が必要だが、北部に位置する北京だと「加湿器はわかるが、除湿機とは何ですか?」というぐらい、まったく違う生活環境になる。

さらに、進学・就職・結婚・出産などのライフイベントによって違う消費市場が形成されている。

例えば、上海のコンサルティングファームで働くAさん(32歳)は、3歳の娘がいて、子供の健康と教育を「世界1のレベル」にすることへの努力やお金を惜しまないが、子育てで時間に余裕がないため母子両方で使えるスキンケアを好んで使っている。

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