EUが人権侵害の疑いを理由に中国に制裁を科す 制裁は象徴的なものにとどまる公算が大きい
欧州連合(EU)は人権侵害の疑いを理由に中国に制裁を科した。これに対し、中国は即座に対抗措置を打ち出した。
人権侵害に対するEUの強い決意を示す
EUの官報に22日掲載された法令によると、制裁対象は中国の個人4人と1団体。これに続き、米政府もEUが制裁を科した個人2人を自らの制裁対象に加えた。米財務省はウェブサイトで、この2人は新疆ウイグル自治区の団体に関係していると主張した。
EUは声明で、「今回の制裁措置は中国・新疆でウイグル族らが大規模かつ恣意(しい)的に拘束されるなどの人権侵害があるためだ」と説明。「制裁により、人権を擁護し、侵害や虐待に責任のある者には具体的な措置をとるというEUの強い決意を示す」と続けた。
EUと米国の制裁は、ほぼ象徴的なものにとどまる公算が大きい。米国はこれまでに中央政治局員2人を含む多数の共産党幹部に制裁を発動しているが、中国経済に打撃を与えることはなく、中国の行動に変化が表れることもなかった。
加藤官房長官は日本の対応を明言せず
一方、EUの制裁発表を受け、中国はEUの個人10人と4団体に制裁を科すことを明らかにし、EUの制裁は「中国の主権と国益を損なう」もので事実に基づいていないと反発した。
加藤勝信官房長官は23日の記者会見でEUと米国の動きは「承知している」としたが、日本の対応は明言しなかった。現行の外為法では人権問題のみを理由に制裁を実施する規定はないと指摘した。ウイグルの人権状況に関しては「深刻に懸念し、中国政府に対して透明性のある説明を行うよう働き掛けをしている」と述べた。
原題:U.S., EU Sanction China for Rights Abuses, China Retaliates (1)(抜粋)
(加藤官房長官の発言を追加しました)
著者:John Ainger、Lucille Liu
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