メール読みは受け身。発信源に人は集まる--『朝イチでメールは読むな!』を書いた酒巻久氏(キヤノン電子社長)に聞く
研究畑出身の現役経営者が書いた仕事習慣の体験的指南書が人気だ。「冴えた朝は、メール処理ではなく創造的な仕事からスタートする。こうした習慣の積み重ねが、仕事の成果に大きな違いを生んでいく」という。
--ケータイを使ってのビジネス書の書き下ろしは珍しい。
ケータイにテキストメモという機能がある。1コマ512バイトだから256文字書ける。それが10コマ。移動の途中でも、それこそトイレでも、つまらぬ発表の会議中でも、いつでも書けるし、送れるし。
私はもともと技術系。技術雑誌からの依頼原稿は昔から多い。今も締め切りを忘れていたのがあって、電車の中で、テーマ、構成、結論を思いつくままにテキストメモに書き出した。
この本の場合は、1ページを何文字にするかをまず決めてもらい、1ページ分ずつテキストメモに書く。それをパソコンに送ってため、ある程度たまったところで、出版社に送り整理してもらった。誤字脱字の修正、文章のつなぎはプロ任せ。
--ユニークなタイトルです。その「こころ」は。
「朝イチでメールを読むな」は、私の基本的な発想がベース。メールを読むというのはいつも受け身であり、テレビを見ているのと一緒だ。
朝は体力が整い、気力も充実している。私が手掛けてきた設計なら、創造力も冴えている時間。その大事な時間に、人からの命令書みたいなものをいつも読んでいると、いつの間にか受け身人間になってしまう。