(第12回)金融危機が勃発し円高犬が目覚めた

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セイフヘイブン効果とキャリーの巻き戻し

経済危機後の全世界的な為替レートの変化は、以上に述べたキャリー取引の巻き戻しに加え、「セイフヘイブン効果」によっても引き起こされたと言われる(詳しくは、下図の注にあるBIS報告を参照)。

セイフヘイブン効果とは、米ドル、日本円、そしてスイスフランが「安全通貨」と見なされ、経済危機の影響を避けようとする資金の流入によって増価した現象を指す。これらは、高金利通貨(オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、アジア諸国の通貨)から低金利通貨(円とスイスフラン)およびドルに向かう資金の流れである。

実際の為替レートの変動は、図に示すとおりだ。ドルは、08年の秋から09年の春にかけて、08年8月のレートを100とする指数で110から70程度に増価した(指数が小さいほうがドル高)。円は同期間中に110から60程度にまで、スイスフランは110から80程度にまで、それぞれ増価した。


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