生活保護申請を退ける役所窓口「非情な言い分」 「録音テープ」で判明した横浜市神奈川区の対応
相談係はまるで、アパートの初期費用を生活保護で支給することを都市伝説か、風の噂のごとく話していますが、真っ赤なウソです。そして、神奈川区では生活保護の申請が施設入所前提だとここでも虚偽の説明を繰り返しています。
「申請したい」と意思を示した途端に話題そらしたのです。間髪いれぬこの華麗な切り返しを生の音源で聞いていると、福祉事務所は普段からその技術を磨いているようにすら思えてしまいます。Aさんはここまでに控えめに、あるいは直接的に三度の生活保護申請の意思を示していますが、申請には至りません。
一時退席した相談員が話し始めたことは…
このあと、Aさんの所持金が9万円あること、3月に5万円のバイト代が入る予定であること、でも今は仕事がないこと、支援団体にも生活保護を利用するようすすめられたことを話し、Aさんはどうにか生活保護の申請をしたいと相談係に訴えました。
それを聞いたあと、相談係は一時退席し、事務所の奥へ消えたと言います。そして誰かと相談して戻って来た相談係は、スラスラとよどみなく以下の説明をし始めます。
あと、生活保護を申請するときに、持っていていいお金の上限というのがあって、申し込み時点で持っているお金が上限を超えてしまっている場合は、ここの収入の方に充当されていっちゃうんですよ。そうすると手続きとしてもあまりお得でないというか、損しちゃうので、今の金額からいうと、超えちゃってるから、手続きしたとしても却下になる可能性がある。
解説します。
相談係はAさんの所持金が多すぎるから申請をしても却下になる可能性があるとおっしゃっています。確かに、所持金が最低生活費(約13万円)を上回っていれば、生活保護の要否判定で却下になりますが、Aさんの所持金は9万円で最低生活費を下回っています。
生活保護費(最低生活費)は単身世帯の場合、7万~8万円の生活扶助と、横浜市では上限5万2000円の住宅扶助で成り立っており、この相談係は「あなたは住まいがないのだから」と住宅扶助分を計算に入れなかった模様。しかしこれは誤りです。住まいのない状態で申請したとしても、申請後にはホテル等に一旦は宿泊することとなるため、最低生活費の算出には住宅扶助費(宿泊費の実費)も参入されなくてはならないのです(3月8日、厚生労働省社会・援護局保護課保護係に確認済み)。