「39歳でがんになった医師」のその後の人生 孤独と向き合い二度の再発を乗り越えられた訳

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がんになってからの人生をどう生きるか、考え続けた日々を綴ります

「2人に1人ががんになる」と言われるように、がんはもはや特別な病気ではありません。一方で医療の進歩により、がんはコントロールできる時代になってきました。

『がんになった人だけが知っている人生で大切なこと』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトへジャンプします)

残念ながら亡くなられる方もいますが、多くの患者さんは社会に戻っていける時代なのです。がんになってからも人生は続いていく、つまり「がんと共にどう生きていくか」がますます重要になっています。

しかし、周りの目が気になって病気のことを人に話せなかったり、孤独を感じて塞ぎ込んでしまう、自分の人生に絶望してしまう人も多いと思います。そんな辛い闘病を乗り越える力となるのが、同じようにがんと向き合っている、あるいは、がんを乗り越えた仲間たちの存在です。

筆者は、39歳の時に骨軟部腫瘍を発症し、その後、再発、再々発と三度のがんを経験しました。闘病中にいちばんつらかったのは、周囲に自分と同じ状況の人、つまり、今まさに「自分の命と向き合っている人」がいなかったことでした。もちろん、家族や友人は支えてくれていましたが、同じ境遇を分かち合える仲間はいませんでした。

そんな孤独な思いを癒やしてくれたのが、治療中に偶然知った、がん患者を支援するチャリティー活動で出会った、たくさんのがん患者の方たちでした。さまざまな年齢、性別、症状の方々から、病気と向き合う心持ちやどのように乗り越えてきたのかといった、いろいろなお話を伺うことで、生きる勇気と希望をもらうことができました。

「がんに勝たなきゃ」と自分を追い込んでいたけれど、勝ち負けを考えることをやめ、「がんと共に生きる」という決意をして、家族と共に新しい人生を歩み出した方、中学生のときに病を経験し、入院中に通った院内学級がきっかけで教師になるという夢を見つけた方など、それぞれが大変ながんと向き合い、乗り越え、その上で充実した人生を送っています。

それぞれどのように病気を乗り越えてきたのか、6人の「がんサバイバー」の実話を紹介している拙著『がんになった人だけが知っている人生で大切なこと』(アスコム)から、私自身の物語を抜粋してお届けします。

今、がんと向き合っている、つらい気持ちを抱えている方々に、「同じように悩んだ人たちがいるよ」「そんな人たちが、いまは人生を楽しんでいるよ」と知ってほしいと思います。ご紹介する仲間たちの人生の中には、たくさんの生きるヒントやメッセージが隠されているはずです。

この記事の漫画を読む(25ページ)
坂下 千瑞子 医学博士、血液内科専門医

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さかした ちずこ / Chizuko Sakashita

1966年、大分県生まれ。1992年、大分医科大学医学部卒業後、東京医科歯科大学第一内科に入局。2004年、米国ペンシルバニア大学血液腫瘍学講座の研究員となる。2007年より実行委員として世界最大級のがん征圧活動であるリレー・フォー・ライフに携わる。

2011年、東京医科歯科大学で医学教育に従事。2013年、東京医科歯科大学医学部附属病院・血液内科特任助教。2015年より日本対がん協会評議員、2017年から2019年に厚生労働省のがん対策推進協議会委員を務める。
 

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横濱マリア 作画
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